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5/12/2003

重症急性呼吸器症候群(SARS)



WHOの海外旅行に関する対策の概要
(2003年5月9日)


旅行者へのアドバイス
SARSを心配している海外旅行者への最も重要なメッセージは、SARSの主要な症状を知っておくということである。すなわち、高熱(38℃以上、華氏100.4度以上)、乾いた咳、息切れ又は呼吸困難である。これらの症状があり、最近10日間に、最近のSARSの地域内伝播が見られている地域(参照:伝播確認地域/最近の地域内伝播が疑われる地域)にいた人は、医療機関を受診するよう勧める。

WHOは現在、SARSの予防法のひとつとして、どうしても必要でない旅行でない限り、中国の北京、広東省、香港特別行政区、内モンゴル自治区、山西省、天津及び台北(台湾)への旅行の延期を勧告している。この勧告は暫定的なものであり、流行状況の変化に応じ再評価され(参照:過去の旅行に関するUpdate17374250)、またこれらの地域の国際空港を乗り継ぎのために通るだけの人には適用されない。

SARSの国際的な拡がりを制限するための対応についてのWHO勧告
SARSに対する効果的な薬剤及びワクチンもない現状において、この疾患の制圧には、症例の迅速な確認、「疑い例」「可能性例」の隔離とその濃厚接触者への対応を含む適切な管理(参照:重症急性呼吸器感染症(SARS)の管理指針 [4訂])によるところが大きい。大多数の国々では、これらの対応により、輸入症例が出ても他の地域へ拡がることを防いできていると考えられる。

旅行者がSARSウイルスを新たな地域へ持ち込む危険性をさらに減らすために、++から+++に分類されている地域内伝播のある地域(参照:伝播確認地域/最近の地域内伝播が疑われる地域)を出発する海外旅行者は、出発時にSARSの可能性についてスクリーニング(ふるいわけ)されるべきである。このようなスクリーニング(ふるいわけ)は、2、3の質問に対して回答してもらうことと、体温測定も有り得る。ひとつ以上のSARSの症状があり、かつ感染の機会のあった旅行者、熱のある旅行者、急に具合が悪くなった旅行者は医療関係者によって評価されるべきで、回復するまでは旅行を延期するよう助言される場合もある。

WHOは現在のところ、SARS流行地域から到着する全ての物品、生産品、動物が公衆衛生上の問題を引き起こすとは考えていない。従って、この点に関する制限は勧告していない(参照:WHO加盟国へのSARS伝播確認地域から到着する物品および動物に関する情報)。

WHOは更に、最近の地域内伝播が疑われる地域から到着した人々も、上述したSARSの主要な症状を知っておき,もしも流行地域を離れてから10日間以内に症状が現れた場合には、まず電話で連絡した上で医師の判断を仰ぐよう勧める。「可能性例」と接触のない健康な人については、特別な対策は必要なく、自由に通常の生活を送るべきである。「可能性例」と接触のあった人は、最後の接触から10日間以上経過して健康だとわかるまでは旅行すべきではない。以上のアドバイスにもかかわらず、「可能性例」の接触者が他の国へ旅行した場合には、その人は到着した国の保健当局によって自発的な隔離と監視下に置かれるべきである。(参照:重症急性呼吸器感染症(SARS)の管理指針 [4訂])。

WHO勧告を各国の実状に合わせて作成された情報があるので、旅行者は医師やその国の保健衛生当局から情報を得ることが望まれる。多くの国の保健当局が、優れた情報の掲載されたウェブサイトを作成している。

全ての入手可能なWHOの情報は、WHO SARS ウェブサイトに掲示され、定期的に更新されている。

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