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4/24/2003

重症急性呼吸器症候群(SARS)−37


(仮訳)

WHOによる重症急性呼吸器症候群(SARS)
多国同時集団発生の報告
(4月23日、更新第37報)


WHO旅行勧告の対象を拡大:中国の北京、山西省とカナダのトロントが加わる
WHOは、中国の北京と山西省、そしてトロント(カナダ)における重症急性呼吸器症候群(SARS)の集団発生の評価を現在行っているが、その結果予防的措置として今回、これらの地域へ旅行を予定している者に対し、どうしても必要な旅行以外はすべて延期するように勧告することとなった。この臨時勧告は、以前発表された広東省と香港中国特別行政区に対する旅行勧告の対象を拡大したもので、3週間後に再度検討する予定である。

WHOが、平成15年3月12日15日に重症急性呼吸器症候群(SARS)に関する世界的警告を出したのに続き、各国当局は「疑い例」と「可能性例」のサーベイランスを強化している。多くの国では、最初の症例を迅速に探知し隔離することで、それ以上の伝播を完全に防止するか、あるいは非常にわずかな数の症例の追加にとどめることができている。

3月27日にはWHOが、旅行に伴うSARSの拡大防止を目的とした対策の追加を勧告した。これらの勧告にある感染拡大防止対策は、特定の地域から空路で出発する旅客のスクリーニングも含め引き続き適用される。

WHO は4月2日に、中国の香港特別行政区と広東省への旅行をする者に対して、どうしても必要な旅行以外はすべて延期するように勧告している。この一時的な勧告は毎日のように検討されており、現在も有効である。

WHOは、中国政府から引き続いて報告された、北京と山西省でのSARS集団発生の影響範囲の大きさに関する情報を慎重に検討している。感染患者数と毎日の新規患者数の両方を含む集団発生の大きさ、地域での感染伝播鎖の範囲、旅行者がひとつの地域にいる間に感染し、その後引き続いて他の地域へ疾病を運んでいるという事実などの情報を考慮に入れ検討がおこなわれた。この検討結果に基づきWHOは、4月2日に出した旅行勧告の対象を拡大し、北京と山西省を加えている。

WHOは同様の基準に基づき、トロント(カナダ)のSARSの状況を検討した。この地域の集団発生の規模は拡大し続けており、医療従事者、家族、面会者、密接なヒト−ヒトの直接的接触者という、当初のリスク群の枠を超えた集団へ影響を及ぼしている。それに加え少数ではあるが、現在他の国々にいるSARSと診断さえれている人々がトロントに滞在中に感染した事が分かっている。これらの情報によりWHOは、SARSに関連した旅行勧告の拡大対象にトロントも加えることとした。

この勧告は3週間後に再度検討される予定である。これは、SARSの潜伏期の最長の2倍にあたる。

WHOの旅行勧告は、公衆衛生を保持し、感染がこれ以上国際的拡大をする機会を減じる目的で発表される。SARSは2月下旬に初めて知られた新しい疾病で、空路に沿って国際線の旅行によって広がった。4月22日の時点で、5つの大陸の25ヵ国から累計で3,947症例が報告されている。予防対策は、比較的早期のうちにSARSの影響を減らし、疾病を封じ込める事を目的としている。

SARSの状況は毎日評価検討され、他の地域も旅行勧告の対象に加える必要があるか、また予防的対策の追加が必要であるかが判断される。

WHOから出されているすべての警告、旅行勧告、毎日の累計症例数とその他の情報はWHOウェブサイト(日本語訳は感染症情報センターサイト)から入手できる。


 
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