IDSC 緊急情報トップ >
 

 

5/9/2003

重症急性呼吸器症候群(SARS)−50



WHOによる重症急性呼吸器症候群(SARS)
多国同時集団発生の報告
(5月8日、更新第50報)


WHOはSARSに関連した旅行勧告の範囲を中国の天津市、内モンゴル自治区、台湾の台北市にも拡大

SARS(重症急性呼吸器症候群)の流行状況を考慮した結果、WHOは、中国の天津市、内モンゴル自治区、台湾の台北市に旅行する者に対して、どうしても必要な旅行でない限り、旅行の延期を考慮するよう勧告する。この勧告は暫定的なもので、定期的に再検討される。

3月12日と15日にWHOが示したSARS関する世界規模の警報にもとづき、世界各国でSARSの「疑い例」と「可能性例」に対するサーベイランスが強化された。多くの国では、最初の症例に対する迅速な把握と隔離の結果、感染の拡大を防ぎ、患者発生を最小限に抑えている。

3月27日、WHOは旅行に関連するSARS拡大の予防策を追加勧告した。SARSの最近の地域内伝播が疑われる地域から出発する航空機旅客に対する、スクリーニングを含めた勧告は現在も適用されている。

中国の天津市、内モンゴル自治区、台湾の台北市でのSARSの流行状況は、WHOによって詳細に検討されている。今回の旅行勧告は、これまでに報告された症例数と新たに報告された症例数を含み、これらの地域における流行が大きいことから出されている。地域内における感染伝播の拡大と、その周囲への更なる感染拡大の可能性に対する配慮が、今回の旅行勧告の大きな要因である。

WHOの旅行勧告は、国際的な公衆衛生の維持と世界的な感染拡大の機会の減少を目的とするものである。SARSは今年2月に始めて認識された新しい疾患だが、国際線の航空機利用によって世界中に拡散した新しい感染症である。5月7日までに5大陸29カ国から、総数6903症例が報告された。感染予防策はSARSの影響を軽減し、流行を比較的早期と言える今のうちに制圧するために行われている。

SARSの流行状況は、旅行勧告がどの状態の国で必要なのか、他の地域を追加する必要があるのか、予防策に追加する事項が他にあるのか等を考慮するために定期的に再検討される。

現在WHOでは、中国の都市(北京市、香港特別行政区、広東省、内モンゴル自治区、山西省、台湾の台北市、天津市)に対して、どうしても必要な旅行でない限り旅行を延期するよう勧告している。

SARSに関するほかの情報(累積症例数、ガイドライン、科学的知見など)はWHOが定期的に更新しているのでWHOのウェブサイトをご覧ください。

----------------------------------------


 
  IDSCホームページへ