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4/3/2003

重症急性呼吸器症候群(SARS)−17


(仮訳)

WHOによる重症急性呼吸器症候群(SARS)
多国同時集団発生の報告
(4月2日、更新第17報)


旅行勧告:香港中国特別行政区と中国広東省に関して

重症急性呼吸器症候群(SARS)の集団発生が伝播確認地域*で続いている:カナダ(トロント)、中国(広東省、香港特別行政区、山西省、台湾)、シンガポール(シンガポール)、ベトナム(ハノイ)。SARSを引き起こしている起因病原体については、精力的且つ国際的に研究されているが、本日までのところ完全にはその特徴が解ってはおらず、入手可能なワクチンや他の予防投薬剤もない。

平成15年3月12日にWHOが世界的な警報(global alert:the global alert on the 12th of March)を出して以来、各国家当局がSARS症例の強化サーベイランスを導入し、そのような症例が検出された場合には迅速な隔離を行って来ている。これにより、事実上ほとんどの国ではそれ以上の拡大を防いでいる。例えばハノイの集団発生はそのピークを過ぎ、昨週は新しい症例は発見されていない。WHOは先週、さらにSARSの感染拡大を防ぎ、国際線の乗客を保護することを目的とした勧告を発表した。この勧告は依然有効である。(下記は感染症情報センター翻訳版にリンクしています。)
WHO recommends new measures to prevent travel-related spread of SARS

香港特別行政区におけるSARSの状況は懸念すべき様相を呈してきた。つまり、症例数が引き続き著しく増加し、流行初期に中心となっていた病院以外へもSARSが広がった事が示唆されている。これらの感染の広がりは、部屋や家々をつなぐ共有の施設の汚染に関連していると考えられる、SARS感染者からの環境を介した感染経路があることを示している。厳格な集団発生の制御法が導入されたにもかかわらず、香港を訪問して帰国後にSARS症例と診断された渡航者が少数ながら見られている。香港に隣接する中国本土の広東省におけるSARSの流行は、報告された中で最も大きな集団発生であり、より広域の地域社会の中へも感染が拡大すると言う証拠を示している。WHOは今回予防的措置として、中国の香港と広東省へ旅行する旅行者に対し、どうしても必要な旅行で無い限り旅行を延期するよう勧告している。この暫定的勧告は、現在対象とされている地域の流行状況に応じて再評価されるし、状況が変わり必要となれば、世界の他の地域にも同様な勧告が適用されることになる。

この勧告は、香港中国特別行政区と広東省(中国)に入ろうとする旅行者に限り適応され、この地区の国際空港で直接乗り継ぎをする旅行者には適応されないことに十分に留意して欲しい。

* WHOは伝播確認地域を、各国の公衆衛生当局の報告に基づき、地域での感染伝播が確認された地域とした。この地域の一覧は経時的に変化する。最も最近の情報は以下にある。(感染症情報センター翻訳版にリンクしています):Affected Areas - Severe Acute Respiratory Syndrome (SARS)


 
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