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4/15/2003


重症呼吸器症候群(SARS)の管理指針
(4月11日4訂)

 

これらの管理指針は新しい情報の入手に伴い、常に再検討され、最新のものに更新される。これは、各国の保健当局がそれぞれの国の状況に合わせた管理指針を創るための、包括的なたたき台とするために編纂されている。
SARSのサーベイランスのための症例定義 も参照してください。

疑い例(Suspected cases)と可能性例(Probable cases)の管理

- 個室隔離あるいは他のSARS「疑い例」や「可能性例」とともに大部屋へ集めて入院させる(Hospital Infection Control Guidance [感染症情報センター版] 参照

- 肺炎の通常の原因(通常の異型肺炎の原因を含む)を除外するために検体(喀痰、血液、血清、尿)を採取する;SARSとの重複感染の可能性を考慮すると共に、適切な胸部レントゲン撮影を行う

- SARSの臨床診断を助けるための検査は、白血球数、血小板数、CPK、肝機能検査、尿素窒素(BUN)、電解質、CRP、そしてペア血清を含む。(ペア血清は、仮に採取した症例が後にSARS症例から除外されたとしても、この疾患を理解する上で非常に貴重な材料となる)

- 入院時には、通常の市中肺炎の治療(異型肺炎を包括する)に使用される抗菌薬の使用を勧奨する

- 気管支拡張剤を併用したネブライザーの使用、胸部理学療法、気管支鏡、胃内視鏡、あるいは気道へ障害を及ぼす可能性のあるすべての処置を含んだ、飛沫(aerosol)を生じる可能性のある治療や処置には特別の注意を払い、これらが必要な場合には、適切な感染予防措置(隔離施設、手袋、ゴーグル、マスク、ガウンその他)を講ずること

- SARSにおいては多数の抗菌薬が試用されてきたが、明らかな効果は判っていない。ステロイド併用あるいは併用なしでリバビリンを使用される患者が増えているが、臨床的な指標がないため、その効果は証明されてはいない。多施設の協調により、リバビリン治療や他の考えられる治療法の効果を検討することが提案されている。

SARSの接触者の定義
接触者とは、SARSの「疑い例」あるいは「可能性例」の患者に接触した為に、SARSを発症する危険が高い者とする。本日までに得られた情報によると、リスクが高い接触とは、「疑い例」あるいは「可能性例」のSARS患者の介護、患者との同居、又は患者の体液、気道分泌物、排泄物(例:糞便)などに直接接触した場合を言う。

「可能性例」の接触者の管理
- SARSの臨床像、伝播形式その他に関する情報を提供する
- 10日間能動的サーベイランス下におき、任意の自宅隔離を勧奨する
- 公衆衛生対策チームのメンバーにより確実に毎日電話をかけるか訪問する
- 毎日体温を記録する
- もし、なんらかの症状を発現すれば、接触者は地元の適切な医療機関を受診し、検査を受けなければならない
- 最初に起こりうる最も確実な症状は発熱である

「疑い例」の接触者の管理
最低限経過観察をすることが勧奨される:

- SARSの臨床像、伝播形式その他に関する情報を提供する
- 10日間受動的サーベイランス下におく
- もし、なんらかの症状を発現すれば、接触者は公衆衛生当局に電話で自己申告する
- 接触者は自由に日常の活動を続けていてよい
- 最初に起こりうる最も確実な症状は発熱である

多くの国家の保健当局は、ここの事例ごとにリスクアセスメントを行い、このSARS「疑い例」の接触者の管理指針を適宜補完することが望ましい。

経過観察対象からの除外
調査および検査の結果、接触したSARS「疑い例」あるいは「可能性例」が除外された場合(もはや「疑い例」あるいは「可能性例」の定義に当てはまらなくなった場合)は、接触者は経過観察対象から外される。

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