国立感染症研究所 感染症情報センター
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Q10. 日本脳炎の予防接種

  6歳と4歳の子供の母親です。米国に滞在していて、まだ日本脳炎の予防接種を受けていません。やはり受けるべきなのでしょうか?4歳の娘はともかく、6歳の娘に関して言えば、小学校で1度追加で接種するかと思うのですが…その時まで接種しないと意味がないなど、問題はありますか?というのも7歳未満の子供には市から無料券が頂けるのですが、既に6歳半であり、今から3回接種するということは、最低でも1度は自己負担という事になります。お手数をおかけしますが回答のほど、よろしくお願い致します。


A: 日本では予防接種の普及により日本脳炎患者は激減し、現在では年間数名の患者報告にな っています。患者さんの年齢は60歳以上の高齢者の方がほとんどですが、昨年は30歳代や40歳代の患者さんもいらっしゃいました。小児の患者さんは最近では見かけなくなりましたが、これは 蚊が少なくなったり、豚舎が住居の近くに少なくなったことに加えて、予防接種の効果が大きいと 思われます。
 全国数十カ所の都道府県でブタの日本脳炎抗体保有率を毎年測定していますが、西日本を 中心にブタの抗体保有率は高く、日本脳炎ウイルスは現在の日本ではまだ多く存在しているのが 現状です。日本脳炎ワクチンは北海道を除くすべての都府県で定期接種として接種が勧奨され ております。
 6歳のお嬢様については公費負担があるうちに定期接種として2回の接種をすまされ、あとは小学校でII 期としての定期接種がありますので、これを追加接種と考えて接種されるのは如何でしょうか。公費負担の割合や定期接種の時期はお住まいの市区町村によって少しずつ異なることが ありますので、直接居住地市区町村にお問い合わせ下さい。
 日本脳炎ウイルスを持っているブタの割合が多い西日本にお住まいの場合や、帰省などで夏にそちらの方に行かれる機会が多い場合は、もちろん自費負担で翌年任意接種として追加接種を受けることも可能ですのでご検討ください。その場合、その後の追加は5年ごとぐらいでいいといます。中学校でもIII 期の定期接種があります。国立感染症研究所感染症情報センターのホームページ(http://idsc.nih.go.jp/index-j.html)の「免疫状況」あるいは「予防接種」をクリックしていただきますと、日本における定期/任意予防接種スケジュールをご覧いただけます。
 ブタの日本脳炎ウイルス保有状況は、同じく当研究所感染症情報センターのホームページ(http://idsc.nih.go.jp/index-j.html)の「免疫状況」に進んでいただき、「全国日本脳炎ブタ情報」をクリックしていただきますと、ブタの日本脳炎ウイルス保有状況が都道府県別にわかりますので、ワクチンをどうするかの判断の参考になると思います。

(感染症発生動向調査週報 IDWR 2002年第10週)


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