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「CDC疫学ソフト“EpiInfo”日本語版について」
 

 岡山理科大学総合情報学部長
山本 英二


CDC疫学調査ソフト”Epi Info”日本語版について

 山本英二(岡山理科大学)

1.Epi Info について

 CDCが提供する疫学調査の企画,実施,解析,報告までの全てをアシストするソフト(Windows版)である.アンケート用紙の作成,データ入力,データ解析,報告書作成が行える.またチュートリアルが充実していて,食中毒事例,感染症事例,サーベイランス事例が学べる.世界中の国で利用出来るように各国語対応が可能なシステムとして提供されている.システム改善を目指してVersion Upが行われてきた.

2000/??/??   Epi Info 2000 First version

2001/11/02  Epi Info 2000 V.1.1.2

2002/09/16  Epi Info 2002 Second version

2003/01/30  Epi Info 2002 Revision

2003/10/31  Epi Info V.3.0.0 Third version

2003/11/18  Epi Info V.3.0.1

2004/01/22  Epi Info V.3.2

2004/04/14  Epi Info V.3.2.2

最新版は3.2.2版で2版に比べ,読みやすい見易い画面表示に洗練されている.頻繁なバージョンアップが行われていて,システムが安定,落ち着くには少し時間がかかりそうである.

 

2.Epi Info 日本語版(感染研公開版)の開発について

日本での実務者の利便性を考えると日本語化,また利用環境の整備が必要である.

2002年度に,日本語化プロジェクトを岡部(感染研),山本(岡山理大),中瀬(岡山市,FETP),津田,大津(岡大・医)で組織し,CDCの Dr. Ma Jinghong, Dr. Steven Yoon(Epi Info開発担当者トップ),他に統計解析やシステムに詳しい専門家の協力をいただいた.当初,Epi Info 2002の各国語対応の行い方マニュアルを参考に日本語化を進めたが,日本語全角コードの利用に,問題が生じた.CDCの技術的サポートをいただいたが,漢字コードの利用に制約があることがわかり,以下のような制約付きの日本語化となった.一部不十分ながら日本語利用環境が整ったのはデータ解析段階である.

2003年度は,2002年度に引き続きアンケート作成,データ入力,報告書作成の分野について,日本語環境の整備を目指した.CDCのDr. John Kobayashi, 2003年Epi Info開発担当者トップ Dr. Matt Lantinga に協力いただき,新3版に期待した.しかしデータ入力での日本語データ入力が可能になったが,アンケート作成,データ入力でのフィールド変数名の日本語表示は出来ていない.データ解析段階の一部不十分なところが整備されている.エクセルデータを読み込み,データの更新が出来る様になった. 3.2.2版の日本語版の作成を行った.チュートリアルの読みやすい日本語へのブラッシュ・アップと,チュートリアルで引用されている画面がEpi Info2000英語版のままなので,これらをEpiInfoV3.2日本語版のものに置き換えた.加えてEpi Info日本語版の実務者利用環境を整備するため,各種日本語利用マニュアルの整備,日本の食中毒事例チュートリアルの作成を作成した.また疫学研修会で実務者の利用による評価,FETPでの研修会を行った.これらの成果は感染研HPのEpi Infoコーナーを更新,充実して公開した.

2004年度は,さらなるEpi Infoの改訂を期待し,改訂版の日本語版作成を行いながら,利用者拡大,普及を行い,利用者評価による改善を行う.そのため,

1 日本語化に残されたシステム課題

  • 外部ファイルからの読み込み時,変数名に全角日本語が使えない(半角カタカナは可能)
  • ビュー作成,データ入力(アンケート用紙作成)時に日本語項目が作成不可

これらは,システム領域の問題を含み,CDCの協力をいただかないと解決出来ない課題である.CDCの担当者と協力して技術的な解決策を見つけたい.

2.暫定版の日本語版を現場で使えるものに充実させるため

  • 国内の専門家・実務家による評価・改善の研究会を開催(5名程)する.
  • 日本における感染症事例チュートリアルの作成する.
  • 出来ればCDCの担当者による,国内の参加者10名程(FETP関係者5名,地方5名)の研修会を開き,Epi Infoを用いた疫学研修法の教授,日本語版開発への支援をお願いする.

  これらの成果をEpi Infoの利用法マニュアル,教授法マニュアルに反映させる.

 

3.現段階での日本語化成果

現段階での成果は以下の通り.日本語変数名に制約はあるが,データ解析においては充分に日本語環境を享受出来る.

a. メニュー,ボタン,画面表示,入力,出力の日本語化.

b. エクセルの日本語データの利用可,変数に半角カタカナの利用可,変数の全角日本語は利用不可.エクセルファイル参照時,パス名に全角日本語は不可.

c. STATCALC の動作不可(英語環境でも不可)を,システムを改良して動作可にした.

ただしSTATCALC自体は英語DOS版での利用.

d. チュートリアルの日本語化と日本事例チュートリアルの作成・追加.

e. これらの成果を日本語化パッチソフトとして作成.Epi Info 3.2.2にパッチを当てるだけで,日本語版が使える.

f. 日本語版利用マニュアルの作成.

g. 感染研HP ( http://idsc.nih.go.jp/index-j.html ) へのこれらの成果のアップ.公開.


     資料(84 K)

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