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2002/03インフルエンザシーズンの流行状況と今シーズンのワクチン株

国立感染症研究所ウイルス第三部
第一室長 小田切孝人

毎年行われているインフルエンザ流行株の解析は、当該年度の流行状況の把握とそれに基づいた次シーズンの流行予測およびワクチン株選定にとって不可欠であり、また、新型インフルエンザウイルスの出現監視にとっても重要な役割を担っている。感染研では、流行株解析の途中経過をWISH-netを通じて全国の地衛研に適宜還元し、またシーズン終了後には結果の総括情報を病原微生物検出情報月報(IASR)や情報センターHPなどをとおして広く一般に還元している。

2002/03インフルエンザシーズンは、A/H3(香港型)とB型ウイルスの混合流行で、その比率はA/H3が67%、B型が33%で、A/H1(ロシア型)の流行はなかった。ウイルス分離総数からみた流行規模は前シーズンとほぼ同程度であった。分離株の抗原解析および遺伝子解析の結果、A/H3ウイルスではHA蛋白に特徴的なアミノ酸置換(H155T、Q156H)をもち、ワクチン株からわずかに抗原変異を示す株が増えてきている傾向が見られた。一方、B型ウイルスは前シーズンとほぼ同様で、流行パターンに大きな変化は見られなかった。これらの解析結果や諸外国の流行状況、WHOのワクチン株選定結果に基づいて、2003/04シーズンのワクチン株として、A/New Caledonia/20/99(H1N1)、A/Panama/2007/9(H3N2)およびB/山東/7/97が前シーズンに引き続き選定された。

本研修会においては、今年度のワクチン株選定経過に加えて、今年2月に香港で再びヒトに感染し1名の死亡例を出したトリインフルエンザウイルスH5N1および3月にオランダで流行したトリインフルエンザウイルスH7N7について紹介する。

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