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Vol.14 (1993/11[165])

<外国情報>
台湾のAIDS患者/HIVキャリアにおける男女比


 1984年に初めて台湾で10人のHIVキャリアが見つかり,その後87年までキャリアは血友病患者と男性同姓/両性愛者に限られていた。1988年に女性キャリアが見つかったが,当時男女比は60:1であった。1992年末,キャリアは407人で性比は18:1,AIDS患者は63人で性比は15:1である。異性間交渉による感染者に限ると,112人のキャリアにおける性比は6:1で,この比率はここ数年変わっていない。

 WHOによると,1991年のAIDS患者の男女比は半々であるが,20世紀末までに女性が男性を上回ると予測している。

 台湾では,異性間感染HIVキャリアにおける性比が他国に比べて有意に高い(台湾6.5:1,日本1.3:1,米国0.4:1)。その理由としては,家族・社会の圧力により,同性愛者がその嗜好を隠して異性愛者と名乗ることが多いことがあげられる。AIDS患者をみると,台湾も米国同様60%が同姓/両性愛者であり,さらに現在のキャリアにおいてその比率は40%で,異性間感染者が増加している。従って,現在の性比はもっと1に近いはずで,女性キャリアが多数見落とされているものと思われる。

 現在までに判明している15人の女性キャリアの感染源は,血友病の夫か,売春行為により感染した夫またはパートナーである。最大のハイリスクグループである売春婦からは,まだほとんど見つかっていない(1993年6月15日現在,451人のキャリア中2名のみ)。しかし,推定で数十人〜数百人のHIVキャリアがいるものと思われ,警戒が必要である。

(台湾疫情報導,9,No.7,83,1993)






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