国立感染症研究所 感染症情報センター
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高病原性鳥インフルエンザ



パンデミックインフルエンザA(H1N1)の流行状況−更新27

          
2009年12月11日

国立感染症研究所 感染症情報センター

国内の状況

1. 定点サーベイランスによる現状とインフルエンザ様疾患発生報告(図1)

 感染症発生動向調査によるインフルエンザの報告は第49週(11月30日から12月6日)の1週間に153,131例で、定点あたりの報告数(1週間の1医療機関当たりへの受診患者数)は31.82で48週(39.63)と比べて減少した(http://idsc.nih.go.jp/idwr/kanja/weeklygraph/01flu.html)。この報告に基づいた第49週(11月30日から12月6日)における患者数の推計は全国に約150万例であった。都道府県別では、インフルエンザの発生報告は青森県と徳島県を除いた全ての都道府県で減少している。48週と比較した減少割合は福井県が36%(定点あたり95.44から60.66)で最も大きく、次いで福岡県(34%;定点あたり63.35から41.99)、愛知県(33%;定点あたり49.95から33.37)の順であった。その一方で、警報(定点あたり報告数30.00以上)レベルを32県(68%)で超えている。都道府県別で定点あたりの発生報告が大きいのは福井県(60.66)、大分県(54.69)、山口県(54.46)の順である(詳しくはインフルエンザ流行レベルマップを参照)。

  厚生労働省結核感染症課が取りまとめているインフルエンザ様疾患発生報告の2009/2010年シーズン第6報によると、49週では全国で学級閉鎖学校数が8,905校、学年閉鎖学校数が3,280校、休校数が777校であった。48週と比べて学級閉鎖校数、学年閉鎖校数及び休校数の全てが減少した。前シーズン(2008/2009年シーズン)との比較は高等学校の報告が本年21週より加わったり、自治体により学級閉鎖等の基準を前年と異なる対応等をしていたりするため、十分な考慮が必要である。


 

           図1 インフルエンザ患者発生報告およびインフルエンザ様疾患患者発生報告



2.  パンデミックインフルエンザによる入院患者数の概況等(厚生労働省発表資料参照

厚生労働省の公表によると、パンデミックインフルエンザによる入院患者数の報告数は12月2日から12月8日に656例の報告があった。入院した患者の年齢は5〜9歳が264人(40%)で最も多く、次いで1〜5歳未満169人(26%)、10〜14歳が72人(11%)の順であった。入院患者のうち急性脳症の罹患は22人(3%)、入院患者のうち人工呼吸器の利用は31人(5%)であった。12月8日までに入院した患者累計(7月28日時点で入院中の患者または7月29日以降に入院した患者の累計数)は11,942人となり、このうち基礎疾患を有する者4,206人では、慢性呼吸器疾患が2,751人(65%)と最も多い。
  同期間における死亡者は12月8日現在で107人報告され、うち93人が入院患者、14人が入院患者以外である。死亡者(107人)のうち74人(69%)に基礎疾患があり、10人(9%)が感染症法に基づく急性脳炎としての届出があった。また、クラスターサーベイランスは10月12日より厚生労働省の運用方法が変更された(通知参照)。運用にあたり、報告は医療機関および社会福祉施設等における集団発生報告となたった。46週(11月23日から11月29日)の集団発生報告は医療機関が5施設、社会福祉施設が1,186施設であった。



3. インフルエンザウイルス分離・検出状況(図2)

  病原微生物検出情報によると、全国で2009年19週から49週までに採取された検体から分離・検出されたインフルエンザウイルスの型・亜型別内訳では、ほとんどがパンデミックインフルエンザウイルスAH1pdmである(図2)。



                 図2  週別インフルエンザウイルス分離・検出報告数


世界の状況
(詳細はWHO:パンデミック(H1N1)2009-更新76を参照)

  北半球の温帯地域では、例年より早く到来したインフルエンザシーズンの流行は北米やヨーロッパの一部で引き続き活発に続いている。北米やカリブ海諸国、特定のヨーロッパの国々では流行のピークが過ぎたような兆しが認められている。東アジアでは、インフルエンザの感染拡大は依然活発に起こっている。インド、ネパール、スリランカでのILIの流行は増加している。アメリカ大陸、アジアの熱帯地域では、インフルエンザの活動は様々であるが、ほとんどの国では下火になってきている。中央、南アメリカではエクアドル、ベネズエラを除くほとんどの国でインフルエンザの流行は減少傾向であると報告している。南半球の温帯地域では、パンデミックインフルエンザの流行はほとんど報告されていない。



(2009/12/15 IDSC 更新)

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