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3/17/2003
重症急性呼吸器症候群(SARS)−1
複数国で発生している重症急性呼吸器症候群について
2003年3月17日
世界保健機関 (WHO) は2003年2月26日より3月15日までに150例以上の重症急性呼吸器症候群 (Severe Acute Respiratory
Syndrome, SARS) の報告を受けているが、問題の深刻さから既に3月12日にGlobal Alertとして発表している。
これはベトナム・ハノイで始まり、その後の症例を含めてベトナムでは43例に達したが、香港(100例以上)、シンガポール(16例)、タイ(1例)、カナダ(7例)、フィリピン(1例)、インドネシア(1例)からも報告されている。また他に、米国ニューヨークから搭乗し、発症したためにドイツ・フランクフルトで降機した1例もある。なお上記国からの報告のいくつかについては、本疾患に該当しない症例も含まれていると考えられる。これらの集団発生での発端症例の何例かは香港に滞在した後の発症であるが、なかには中国の広東省に滞在した後の症例も含まれる。さらに、それらの患者の診療を行った医療機関スタッフが多数発症していることが深刻な問題である。
原因に関してはWHO、米国疾病管理センター (CDC)、国立感染症研究所 などが調査を開始しているが、現時点で全く不明である。しかし、ヒトからヒトヘの直接感染が強く疑われており、患者と濃厚に接触する家族や医療従事者においては二次感染を生じないよう、特に注意が必要である。
我が国では現時点で該当する症例はないと考えられるが、海外との交流の活発化に鑑み、侵入する可能性も考えておく必要がある。問題の地域に滞在した後に疑わしい症状を示している者、および、それらの診療を行う各医療機関においては、下記の「厚生労働省健康局結核感染症課長通知」に示す症例定義
[WHOの原文は下記のウエッブサイト1)] を参考にして、適切な対応を行う必要がある。
なお、それらの疑いあるいは確定患者の診療を入院で行う場合には、個室ヘの入院とし、医療従事者は空気感染にも対処できるようなバリアナーシングを行うことが望ましい。詳細はWHOのウエッブサイト
[下記の 2)および3) ] に掲載されている。
WHOは、当該国への渡航に関して制限をしてはいないが、米国CDCは香港、中国広東省、ベトナム・ハノイなどへの渡航に関し、その絶対的な必要性がないかぎりは、延期を考慮することも勧めている。
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