国立感染症研究所 感染症情報センター
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Q13. DPTの接種時期

  3種混合(DPT・I 期)予防接種のことで質問いたします。私たちの住んでいる地域では、DPT・I期の接種は満1歳からとなっています。しかし、厚生省の冊子「予防接種と子供の健康」の通常接種対象年齢をみても、近隣の別の地域でも、0歳代の接種が一般的なようでしたので、医師に質問したところ、「大きくなってからの方が危険が少ないため」との回答でした。そこで接種年齢に関しての質問ですが、DPTの接種は低月齢児にはリスクを伴うものですか?
 また、他の予防接種もある程度成長してから接種する方が好ましいですか?次に破傷風に関してですが、破傷風の母体免疫は何歳くらいまで有効ですか?1歳を過ぎると一人歩きが始まり、外での遊びをしたがります。しかし、破傷風菌は土中のどこにでもいるとあり、怪我をしたときの感染が心配です。DPT 接種を全て完了してから外遊びをさせるほうが良いですか?また、傷口の処置はどの度行えば良いですか?

(母親M 氏)


A: DPT ワクチンの接種は予防接種法に基づいて、生後3カ月から定期接種として接種が可能です。できれば0歳の時に百日咳に罹患するのを予防したいので、DPT初回免疫の3回は是非0歳の間に受けていただきたいと思います。その理由は、乳児期(0歳児)に百日咳に罹患すると、合併症を併発したり死亡する率が高いと言われているためです。免疫の獲得については年長児の方が良好ですが、それよりも0歳で百日咳に罹患するのを予防することの方が重要と考えます。低月齢児ではDPTの接種がリスクを伴うということはありません。もともと接種部の腫脹が多く認められるワクチンですが、それについては0歳児で接種しても1歳児で接種しても同じと考えます。予防接種は、この年齢で予防して欲しいということから接種開始年齢を設定していますので、ある程度成長してからではなく、設定された接種開始年齢に接種を受けていただきたいと思います。

 破傷風の件ですが、母親からの移行免疫の有効期間は破傷風に限らず一般的に通常生後数カ月間で、せいぜい6カ月ぐらいまでが限度です。また、母親に免疫がなければ、当然のことながら赤ちゃんには移行しませんし、母体の抗体価が低い場合には、それだけ移行免疫は早く消失します。けがをしたり転んだりすることが多くなる頃までには、DPTワクチンを接種して欲しいと思います。転倒などの事故や土いじりなどによる受傷部位からの感染が多いといわれており、創傷部位を適切に治療することにより、感染の可能性が低くなると期待されます。しかし、破傷風菌の芽胞は極めて些細な創傷部位からでも侵入するとされており、侵入部位がはっきりしない事例(1999〜2000年では23.6%)も多くあります。破傷風菌は嫌気性菌であり、空気に触れないところで増えますので、深い傷の時は要注意です。そういうことがあれば、かかりつけの小児科医にすぐご相談下さい。ただし、DPT ワクチンを接種している場合と接種していない場合では対応も異なり、やはり早めにDPTワクチンを接種しておくことをおすすめします。

(感染症発生動向調査週報 IDWR 2002年第39週)


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