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「内閣府食品安全委員会における緊急時対応について」
内閣府食品安全委員会情報・緊急時対応課 緊急時対応係長
 荻野 暢子

BSEの発生を契機に食品の安全を脅かす事件が相次いで発生し、国民の食品の安全に対する意識が非常に高まる中、食品安全行政の見直しが進み、平成15年5月、食品安全基本法が成立、7月1日に施行された。食品安全基本法では、(1)国民の健康保護が最も重要であるという基本的認識のもとに必要な措置を実施するということ、(2)食品供給行程の各段階において安全性を確保するということ、(3)国際的動向及び国民の意見に十分配慮しつつ、科学的な知見に基づき、必要な措置を実施する、という3つの基本理念を規定し、食品の安全性の確保に関し、国、地方公共団体、食品関連事業者の責務や消費者の役割を定めているほか、施策の策定に係る基本的な方針として、リスク分析手法の導入などを規定している。

食品安全基本法に基づき設置された食品安全委員会の第一の大きな役割はリスク評価であり、食品に含まれる可能性のある有害な微生物、化学物質等が人の健康に及ぼす影響を科学的に評価している(食品健康影響評価)。食品安全委員会によるリスク評価の結果が、我が国の食品安全行政のベースになるため、科学的知見に基づいて客観的かつ公正中立な評価を行なっている。


第二の役割は、リスクコミュニケーションであり、科学的な安全について国民に信頼してもらうため、意見交換会を始めとして、関係者相互間における幅広い情報や意見の交換を行っている。


第三の役割は、国レベルでの対応が必要な大きな危害が発生した場合などにおける緊急時対応であり、リスク管理機関と連携して迅速かつ適切な対応を行うこととしている。


具体的な緊急時対応のあり方については、様々な分野の専門家で構成された緊急時対応専門調査会において審議が行われており、緊急事態における国民の生命の保護のための体制整備を行っている。

この調査会では、緊急事態への対処等に関する体制整備として、以下の要綱等を策定した。


○食品安全関係府省緊急時対応基本要綱(平成16年4月15日)
  食品安全委員会、厚生労働省、農林水産省及び環境省からなる食品安全関係府省において、食品の摂取を通じた緊急事態等の発生時における国の対処のあり方等について規定。
○食品安全委員会緊急時対応基本指針(平成16年4月15日)
  食品の摂取を通じた緊急事態等の発生時における食品安全委員会の対応について規定。
○食品安全関係府省食中毒緊急時対応実施要綱(平成17年4月21日)
  食品安全委員会、厚生労働省、農林水産省及び環境省からなる食品安全関係府省において、食中毒による緊急事態の発生時における国の対処のあり方等について規定。
○食品安全委員会食中毒緊急時対応指針(平成17年4月21日)
  食中毒による緊急事態の発生時における食品安全委員会の対応について規定。

これらの要綱等において、食品安全関係府省は(1)平時から連携を図ると同時に、相互に緊密な情報交換及び連絡を行える体制を整えておくこと、(2)平時から食品事故の発生等の危害情報の収集、整理及び分析を行うこと、(3)緊急時には、迅速かつ広く食品の安全性の確保に関する情報を収集するとともに、食品安全関係府省で情報を共有すること、(4)緊急事態の発生に際し、閣僚級により総合的に対処する必要がある場合には、緊急対策本部を設置すること、(5)迅速かつ適切に国民及び関係機関に情報提供を行うこと、(6)事後検証を行うこと、とされている。
さらに、食品安全委員会固有の役割として、上記の他に、必要に応じて、(7)科学的知見に基づき、食品健康影響評価を行うこと、(8)リスク管理機関に対する勧告及び意見具申等を行うことを定めている。

今後、緊急事態が発生した際にこれらの規定に基づく適切な対応が行えるよう、平時から広く情報を収集し、食品安全関係府省で相互に十分な連携を図るとともに、引き続き緊急事態への対処のための体制の整備を行っていく。


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