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「鳥インフルエンザ−農林水産省における対策−」
農林水産省消費・安全局衛生管理課課長補佐
 杉崎 知己

高病原性鳥インフルエンザに対する防疫対応について                       

  1 高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)のサーベイランスについて
  家畜伝染病予防法に基づき、HPAIは法定伝染病に指定されている。また、近隣諸国での発生を踏まえ、昨年9月に高病原性鳥インフルエンザ防疫マニュアルが作成された。これらに基づき、各都道府県家畜保健衛生所においてHPAIのモニタリングが実施されており、また、異常家きんが発生した場合には、獣医師や家きんの飼養者等が家畜保健衛生所に報告することとされている。
 
  2 発生時の対応について
  発生時には、まん延防止のため、家畜伝染病予防法及び高病原性鳥インフルエンザ防疫マニュアルに基づき、発生農場の隔離、患畜等の殺処分、施設の消毒等の防疫措置がとられる。また、発生農場を中心とする半径10km以内の区域は移動制限区域とされ、家畜の死体、汚染物品及び運搬車両等について移動が制限されるとともに、家きんの品評会等の家畜を集合させる催物の開催等が制限される。
 
    3 日本における高病原性鳥インフルエンザの発生と感染経路究明について
  本年1月から3月にかけて、3府県4か所の飼養施設でHPAIの発生があり、約27万5千羽の家きんが死亡又はとう汰された。農林水産省では、専門家からなる「感染経路究明チーム」を3月に設置し、感染源・感染経路の究明を行った。その結果、3府県で分離されたウイルス株は、同一起源であるが、比較的近い時期に分化した異なるウイルス株であり、それぞれ別の感染源による独立した発生であった可能性があることが判明し、また、本病の病原体ウイルスは朝鮮半島等からカモなどの渡り鳥によって持ち込まれた可能性があり、これら渡り鳥の糞が感染源となり、付近に生息する留鳥、ねずみ等の動物や人などの媒介により、鶏舎内に持ち込まれた可能性があること等が取りまとめられた。
 
  4 高病原性鳥インフルエンザに関する特定家畜伝染病防疫指針の作成について
  本病に関するこれまでの防疫対応及び感染経路究明の結果を踏まえ、家畜伝染病予防法第3条の2に基づく特定家畜伝染病防指針を作成することとしている。


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