国立感染症研究所 感染症情報センター
ホーム疾患別情報サーベイランス各種情報

 

 


平成15年度トップページ > プログラム17

 

 

感染症集団発生時の疫学調査
(ケーススタディ、ポスター)

国立感染症研究所 感染症情報センター
FETPコーディネーター
砂川富正 中島一敏 大山卓昭

実地疫学専門家チーム(FETP)が感染症集団発生(食中毒も含む)に直面した場合、迅速な対応と同時平行で、以下のステップに従い疫学調査を実施していきます。

ステップ1:感染症集団発生の存在とその範囲の確認
ステップ2:症例定義設定と新たな症例検索
ステップ3:症例情報の記述疫学(時・人・場所)
ステップ4:現場及び関連施設の観察調査
ステップ5:仮説作成(感染源?感染経路?)
ステップ6:仮説検証(症例対照研究、コホート研究など)
ステップ7:結果のまとめと考察・提言
ステップ8:報告書作成

それぞれのステップでどのような活動をして状況を判断していくのかを、FETPとともに「ケーススタディ」を通して確認していきます。

実地疫学専門家チーム(FETP)
 島田 靖
 逸見佳美
 森伸生
 吉田英樹
 上野久美
 上野正浩
 増田和貴

------------------------------------------------------------
平成15年度感染症危機管理研修会に参加して

  砂川富正(主任研究官、FETPコーディネーター)

FETP(実地疫学専門家養成コース)は、今回の感染症危機管理研修会において、1)ポスター掲示、2)ケーススタディの2つに参加した。いずれもここ数年、FETPが役割を担っている。

1)ポスター掲示
 現在現役のFETP4期生4名、5期生3名から各一テーマのポスターを掲示した。その掲示内容は以下の通りである。
   ・SARS事例におけるFETPの活動
   ・保育施設におけるB型肝炎集団発生事例
   ・A型肝炎の2003年の動向
   ・バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)院内感染事例
   ・レジオネラ感染症の2003年の動向
   ・先天性風疹症候群の現状
   ・腸管出血生大腸菌感染症(EHEC)の2003年の動向

FETPの掲示したポスターは社会的に話題となった事例をベースにしているものが多く、また自治体にとっては身近なテーマであるだけに、多数の研修会参加者がポスターを囲んだ。FETPと参加者、参加者同士によるディスカッションが盛んに行われた。特に講演として発表された演題と関連する内容、例えばSARSや保育施設、先天性風疹症候群に関しては、それぞれの内容をさらに印象深くする点で効果的であった。今後、選択したテーマをより深く掘り下げて解析することで、さらに有用な話題提供をしていきたいと考える。

2)ケーススタディ「監督の誤算」
 ケーススタディは各グループ1名のFETP(今回は卒業生3名の協力を得た)をガイド役として、各10名ほど研修会参加者が事例対応の机上演習を行うものである。今回のケーススタディは外国原作の翻訳ではなく、純オリジナルという点で画期的であった。また、あえてワクチン予防可能疾患(今回は麻疹)という国内においては問題が山積している分野を取り上げることで、この分野への関心の増加が期待された。2時間ほどの演習時間であったが、ワクチン有効率の計算など内容が多かったために、それぞれの設問への討議時間が短かったのではないか、と思われる。全体としては好評であったと考えられるが、シナリオとしては実際の法律上の制約に関する吟味が不十分な部分が散見された。今後のケーススタディを作成していく上での課題として認識された。

←平成15年度トップページへ戻る

Copyright ©2004 Infectious Disease Surveillance Center All Rights Reserved.