BCG接種政策の変更 −問題点は何か? |
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結核予防会結核研究所 森 亨 |
1.日本の結核問題と対策の動向
(1)逆転上昇:結核緊急事態宣言(1999/07)
1980年からの改善鈍足と1997年以後の逆転上昇
(2)高齢化と若年者への伝播
高齢者とくに80歳以後の急上昇
若年者でも逆転
結核感染を巡る世代格差
(3)患者の重症化
菌陽性患者は19%(1975年)から50%台(1999年)へ
結核弱者(ハイリスク集団)への集中の影響
糖尿病、胃潰瘍・胃切除後、塵肺、腎透析、制ガン剤治療
副腎皮質ホルモン治療、極端なやせ型、ヘビースモーカー
健康管理過疎集団:社会経済弱者
化学予防枠の年齢枠拡大の必要性
結核診断の遅れの影響
(4)集団発生の増加
学校から事業所、さらに不特定集団(遊興施設など)へ
(5)望まれる医療・行政の奮起
拡大する地域間格差、職業間・社会階層間格差
結核対策資源の地域間格差:「地域結核対策計画」の必要性
「結核発生届け」の徹底
医療従事者の教育
「対策の最適化」の必要性:結核予防法大改正の方向
(6)対策改訂の方向
集団的対応から個別的対応へ
世界的標準やEBMの重視:効率論
BCG再接種の廃止と乳幼児期接種の向上
健康診断の対象収約化
2.今後の結核予防
(2002.06厚生科学審議会「提言」から)
(1)予防接種
○ 再接種は全廃を勧告
・治験による有効性の証明がない
・フィンランド、韓国などで中止の経験
・再接種対象選定の妥当性がない
・理論的には最大10%程度の効果(?)
・乳幼児期の「接種もれ」を補っている?
・ケロイドが多発
・世界的標準からの孤立
○ 初接種(乳児期接種)の技術、接種率をいかに確保するか?
予防効果の確認:Meta-nalayisis
英国などの成績
日本と諸外国の比較
日本の問題点
・ 経皮接種
・ 技術評価
・ 接種率と時期
○ 乳児における直接接種の導入
接種前ツベルクリン反応検査の省略
・ 現行制度の利益:ツ反→患者発見〜2名
○ BCG接種副反応への対応
−リンパ節腫大、ケロイド・潰瘍、皮膚結核様反応、骨炎
(2)化学予防
年齢制限の撤廃?
−最近の感染への対応:若年者
−発病ハイリスク集団:とくに中高齢のリスク個人
診断・適応の根拠が問題
(3)健康診断
小中学生は廃止を勧告−補完策:健康相談、臨時検診、対保健所連携
ハイリスク群・デインジャー群検診として再構築
−高齢者(40歳以上)、「節目」
−「ハイリスク」の定義、適用方法
接触者検診の強化:患者家族から「社会的接触者」(職場その他)
(4)ツベルクリン反応検査の意義
「結核予防法」からの解放(?)
発赤か硬結か:世界基準からの孤立
BCG起因反応と自然感染反応の鑑別は可能か
新たな感染診断の方法と可能性