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第22号ダイジェスト
2004年第22週(5月24日〜30日)

・発生動向総覧
・注目すべき感染症

 をPDF版よりピックアップして掲載しています。

???S 発生動向総覧


全数報告の感染症
*「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」の改正(11月5日施行)により、対象疾患、分類が一部変更されました(第43号「速報」参照)。


〈第22週コメント〉6月3日集計分

注意:これは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計を行いますので、当該週に診断された症例の報告が、集計の期日以降に届くこともあります。それらについては、発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。宜しく御理解下さい。

1類感染症:

報告なし

2類感染症:

細菌性赤痢 6例(推定感染地域:国内1例、インド1例、インド/シンガポール1例、バングラデシュ1例、マレ ーシア1例、インドネシア1例)
腸チフス 1例(疑似症)
パラチフス 3例(推定感染地域:インド2例、カンボジア1例)

3類感染症:

腸管出血性大腸菌感染症 97例(うち有症者54例)
報告の多い都道府県:岡山県(25例)、東京都(11例)、福島県(8例)、福岡県(7例) 血清型・毒素型:O26 VT1(33例)、O157 VT1・VT2(32例)、O157 VT2(25例)、O157 VT1(2例)、O26 VT1・VT2(1例)、O26 VT2(1例)、その他(3例)
年齢:10歳未満(41例)、10代(12例)、20代(12例)、30代(10例)、40代(8例)、50代(7例)、60代(1例)、 70歳以上(6例) )

4類感染症:

オウム病 4例(推定感染源:インコ3例、不明1例)
つつが虫病 3例(秋田県、福島県、鹿児島県)
日本紅斑熱 2例(徳島県、愛媛県)
マラリア 2例〔熱帯熱1例(推定感染地域:インドネシア)、三日熱1例(推定感染地域:パキスタン)〕
レジオネラ症 6例〔50代(3例)、60代(2例)、70代(1例)〕
E型肝炎 1例(推定感染地域:国内、推定感染経路:猪肉の喫食)

5類感染症:

アメーバ赤痢 10例(推定感染地域:国内5例、エジプト/ケニア2例、不明3例)

ウイルス性肝炎 3例

B型3例(推定感染経路:性的接触2例、不明1例)
C型1例(推定感染経路:不明)

クリプトスポリジウム症 1例(推定感染地域:インド)
劇症型溶血性レンサ球菌感染症 1例(69歳)

後天性免疫不全症候群 11例

(無症候5例、AIDS 5例、その他1例)
推定感染経路:性的接触9例(異性間4例、同性間5例)、不明2例
推定感染地域:国内9例、不明2例例

梅毒 3例(早期顕症I期1例、無症候2例)
(補)他に、ライム病1例、劇症型溶血性レンサ球菌感染症1例の報告があったが削除予定。また、遅れ報告として急 性脳炎1例〔ムンプスウイルス(3歳)〕の報告があった。 。

定点把握の対象となる5類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000 カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000 カ所)、眼科定点(約600 カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。

過去5年間との比 CPEGグラフ

当該週と過去5年間の平均(過去5年間の前週、当該週、後週の合計15週の平均)の比を対数にてグラフ上に表現した。1標準偏差を超えた場 合黄で、2標準偏差を超えた場合赤で色分けしている。

小児科定点報告疾患:咽頭結膜熱の定点当たり報告数は増加し、過去5年間の同時期(前週、当該週、後週)と比較してかなり多く、都道府県別では福井県(2.8)、宮崎県(2.1)が多い(「注目 すべき感染症」参照)。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は増加し、過去5年間 の同時期と比較してかなり多く、都道府県別では山形県(5.5)、新潟県(5.2)が多い(「注目すべき感染症」参照)。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は微減したが、過去5年間の同時期と比 較してかなり多く、都道府県別では大分県(11.5)、福井県(10.8)、宮崎県(10.8)が多い。手足口病の定点当たり報告数は第20週から緩やかに増加しており、都道府県別では沖縄県(2.0)、 兵庫県(1.9)が多い。伝染性紅斑の定点当たり報告数は増加し、過去5年間の同時期と比較し てやや多く、都道府県別では新潟県(2.3)が多い。風しんの定点当たり報告数は前週と同値で あるが、過去5年間の同時期と比較してかなり多く、都道府県別では栃木県(0.7)、群馬県(0.5)、 大分県(0.4)が多い。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は増加し、都道府県別では福井県 (5.6)、愛媛県(5.3)が多い。RSウイルス感染症は、ゼロ報告を含めて33都道府県から報告が なされ、報告数は合計29例であった。

眼科定点報告疾患:流行性角結膜炎の定点当たり報告数は第3週からほぼ横ばいで推移しているが、都道府県別では沖縄県(10.8)が非常に多い。

基幹定点報告疾患:マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は増加し、過去5年間の同時期と比較してかなり多く、都道府県別では新潟県(1.4)、山形県(1.4)、長野県(1.2)が多い。


過去1年間の動き(グラフ)



???S 注目すべき感染症

◆ 咽頭結膜熱

 2004年の咽頭結膜熱の定点当たり報告数は、過去10年間の中でも最も多かった昨年と比較 しても、さらに多い状態で推移している。本年の各週の定点当たり報告数は、過去10年間の当 該週と比較して、第1週から継続して最大値となっている(図)。第22週に定点当たり報告数が多 かった都道府県は、福井県(2.8)、宮崎県(2.1)で、福島県、富山県、石川県、岐阜県、奈良県、 和歌山県、徳島県の各県でも1.0を超えている。

図.咽頭結膜熱の過去10年間の週別発生状況(2004年第22週)

 本疾患はアデノウイルスによる感染症で、発熱、咽頭炎、眼症状を主とする。プールでの感染 もみられることからプール熱とも呼ばれる。夏季に流行する疾患であるが、2000年以降には、 それ以前にはなかった冬季での増加傾向が見られ、特に昨年から本年にかけてその傾向が顕 著であった。罹患年齢は従来から学童年齢が主とされるが、昨年の感染症発生動向調査による と1〜5歳の各年齢がそれぞれ13〜16%で、合わせて全体のほぼ4分の3を占めていた。本年第 22週までの報告でもほぼ同様であるが、2歳以下の割合がやや増加している。
 感染経路は通常飛沫感染であるが、プールでは結膜からの感染や経口的な感染も考えられ る。症状としては5〜7日の潜伏期の後に、発熱、頭痛、食欲不振、全身倦怠感、咽頭痛、結膜 充血、眼痛、羞明、流涙、眼脂などの症状があり、それらが3〜5日間程度持続する。基本的に は予後の良い良性の疾患であり、脱水を防ぐなどの保存的な治療が中心となる。
 過去10年間、流行のピークは第28〜32週であるので、今後さらに増加すると考えられ、注意が 必要である。前述のように、プールを介しての流行もあることから、プールの水の適切な消毒が 大切である。症状がある時にはプールに入らないことはもちろんであるが、症状が消失したあと も長期間糞便中にアデノウイルスが検出されることもあるので、プールに入る前にはシャワーなど でおしりをよく洗い、また出たあとには目をよく洗うことを忘れないよう、日常から心がけることが 必要である。

◆ A群溶血性レンサ球菌咽頭炎

A群溶血性レンサ球菌は、菌の侵入部位や組織によって多彩な症状を引き起こす。日常よく みられる疾患として、上気道炎(急性咽頭炎など)や化膿性皮膚感染症(膿痂疹など)がある。
これら以外にも中耳炎、肺炎、関節炎、骨髄炎、髄膜炎などを起こす。また、菌の直接の作用 ではなく、免疫学的機序を介してリウマチ熱や急性糸球体腎炎を起こすことが知られている。これらの疾患のうちA群溶血性レンサ球菌咽頭炎の発生動向は、感染症法に基づき、全国約 3,000カ所の小児科定点医療機関から毎週報告される患者数により把握されている。

図.A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の過去10年間の週別発生状況(2004年第22週)

本疾患の 報告数は、迅速診断キットの普及などから近年増加していたが、昨年までと比較して本年は非 常に多く推移している(図)。第22週に定点当たり報告数が多かった都道府県は、山形県(5.5)、 新潟県(5.2)で、北海道、富山県、山梨県、鳥取県、愛媛県でも3.0を超えている。例年、春か ら初夏にかけてと冬季のふたつの時期に報告数のピークが認められ、これから夏にかけては 減少する時期であるが、本年の報告数は多いので、今後の動向には注意を要する。 感染経路は主に飛沫感染であるが、時に食品などを介しての経口感染により、家庭や学校 などの集団での感染もみられる。年齢別では4〜6歳の報告が多く、これは従来の傾向と変わ らない。

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