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第3週ダイジェスト
(2004年1月12日〜18日)
  • 発生動向総覧 (12月報含む)
  • 注目すべき感染症
 をPDF版よりピックアップして掲載しています。

 発生動向総覧

〈第3週コメント〉1月22日集計分
全数報告の感染症
*「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」の改正(11 月5 日施行)により、対象疾患、分類が一部変更されました(第43 号「速報」参照)。

注意:これは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計 を行いますので、当該週に診断された症例の報告が、集計の期日以降に届くこともあります。それらについては、発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。宜しく御理解下さい。

1類感染症:

報告なし

2類感染症:

細菌性赤痢 2例(推定感染地域:ミャンマー1 例、スリランカ1 例)

3類感染症:

腸管出血性大腸菌感染症 10例(うち有症者6 例)
血清型・毒素型:O157 VT1 ・VT2 (5例)、その他(5例)
年齢:10歳未満(4例)、20代(3例)、50代(1例)、70歳以上(2例)

4類感染症:

つつが虫病 3例(茨城県、岡山県、鹿児島県各1 例)
レジオネラ症 2例(59歳、68歳)
E型肝炎 1例(推定感染地域:国内)
A型肝炎 3例(推定感染地域:国内2例、インドネシア1例)

5類感染症:

アメーバ赤痢 3例(推定感染地域:いずれも不明)

ウイルス性肝炎2例

B型1例(推定感染経路:不明)
C型1例(推定感染経路:静注薬物使用)

クリプトスポリジウム症 1例(推定感染地域:国内)
クロイツフェルト・ヤコブ病 2例(ともに孤発性)

後天性免疫不全症候群 9例

例(AIDS 3例、無症候6例)
推定感染経路:性的接触8例(異性間4例、同性間3例、異性間/同性間1 例)、不明1 例
推定感染地域:国内8例、不明1例

梅毒6例(早期顕症I期2例、早期顕症II 期1例、無症候3例)
急性脳炎1例(病原体:インフルエンザウイルスA型.12歳)
(補)他に梅毒1 例の報告があったが、削除予定。

定点把握の対象となる5類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000 カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000 カ所)、眼科定点(約600 カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。


当該週と過去5年間の平均(過去5年間の前週、当該週、後週の合計15週の平均)の比を対数にてグラフ上に表現した。1標準偏差を超えた場合黄で、2標準偏差を超えた場合赤で色分けしている。

インフルエンザ定点報告疾患:インフルエンザの定点当たり報告数は増加し、都道府県別では栃木県(19.7)、群馬県(19.6)、埼玉県(18.9)が多い(「注目すべき感染症」参照)。

小児科定点報告疾患:咽頭結膜熱の定点当たり報告数は2003 年第43週から増加傾向が認められていたが、2004年第2週は減少し、第3週も減少した。しかし、過去10年間の当該週の平均と比較して6.6倍と未だかなり多く、都道府県別では和歌山県(0.8)、山形県(0.6)が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は2003 年第51週をピークとし、第52 週、2004 年第2週は減少したが、第3週は増加した。都道府県別では鳥取県(4.3)、富山県(3.7)、山形県(3.4)が多い。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は2003年第43週から増加し続けた後、第52 週から減少し、2004年第3週も減少した。都道府県別では大分県(17.6)、山口県(16.8)、愛媛県(16.1)が多い。水痘の定点当たり報告数は2003 年第41 週から増加し、2004年第2週も増加し、過去10年間で最高の値となったが、第3 週は減少した。都道府県別では山形県(3.5)、愛媛県(3.5 )が多い。RSウイルス感染症の報告数は、35 都道府県(0 の報告も含む)から合計297 例であった。

基幹定点報告疾患:マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は減少して0.25 で、都道府県別では岡山県(2.0 )、秋田県(1.0 )、山梨県(1.0 )が多い。


〈12月コメント〉
◆性感染症について  2004年1月14日集計分 性感染症定点数:922

*「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」の改正(11 月5 日施行)により、「尖形コンジローム」の疾患名が「尖圭コンジローマ」に変更になりました。

 2003 年12月の月別定点当たり患者報告数は、性器クラミジア感染症が3.42(男1.50 、女1.92)、性器ヘルペスウイルス感染症が0.91(男0.39 、女0.52)、尖圭コンジローマが0.56(男0.30 、女0.26)、淋菌感染症が1.72 (男1.36 、女0.36)で、4 疾患のうち、男性では性器クラミジア感染症および淋菌感染症、女性では性器クラミジア感染症が多かった(図1)。4疾患ともに、前月に比べ、減少あるいはほとんど横ばいである(「グラフ総覧」参照)。過去4年間の同時期と比較すると、性器ヘルペスウイルス感染症で男女ともに平均+1標準偏差(SD)を、尖圭コンジローマの男性で平均+1SD 、女性で平均+2SD を超えている(図2)

図1.各性感染症が総報告数に占める割合(12月)


 定点当たり報告数を年齢階級別・男女別に比較すると(図3:「性感染症の年齢階級別・性別グラフ(12 月)」はPDFを参照してください)、いずれの疾患でもピークは20〜29 歳にあったが、性器ヘルペスウイルス感染症では50 代以降の高年齢層からの報告も少なくない。淋菌感染症ではいずれの年齢層でも男性の占める割合が高いが、他の3 疾患では若年齢層で女性の報告者数が多い傾向が認められた。
 感染症法が施行された1999 年4 月以降について、若年齢層(15〜29 歳)での各性感染症の定点当たり報告数を月別・男女別に図4(「1999 年4月以降の性感染症の月別定点当たり報告数(15〜29 歳)」はPDFを参照してください)に示した。冬場にかけて減少、あるいは横ばい状態が見られる。


注:本発生動向調査で得られる性感染症患者報告数および解析結果は、現在の定点の構成に基づく制限のもとに解釈される必要がある。詳細はIDWR 週報2000年第46号(10月報)4ページの記載を参照されたい。

◆薬剤耐性菌について (1月14日集計分)

12月の基幹定点総数:

467.

[定点当たり報告数]

メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA )感染症
3.62 (前月:3.55 、前年同月:3.30 )
ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP )感染症
1.62 (前月:1.34 、前年同月:1.51 )
薬剤耐性緑膿菌感染症
0.16 (前月:0.12 、前年同月:0.13 )

[年齢階級別]

MRSA 感染症…高齢者に多く、65 歳以上が全体の70%(70 歳以上が59%)を占めている(図1:PDF参照)。
PRSP 感染症…小児に多く、10 歳未満が全体の75%(5歳未満が65%)を占めている(図2:PDF参照)。
薬剤耐性緑膿菌感染症…70 歳以上の高齢者に多く、全体の67%を占めている(図3:PDF参照)。

[性別:女性を1 として算出した男/女比]

MRSA 感染症…1.9/1
PRSP 感染症…1.2/1
薬剤耐性緑膿菌感染症…2.0/1

[都道府県別]

MRSA 感染症…定点当たり報告数は山口県(10.4 )、富山県(8.2)、愛知県(8.2 )が多く、累積では山口県(102.4)、富山県(97.0)、島根県(89.6 )が多い。
PRSP 感染症…定点当たり報告数は千葉県(13.8 )、富山県(10.4 )が多く、累積でも千葉県(87.3 )、富山県(71.4 )が多い。
薬剤耐性緑膿菌感染症…定点当たり報告数は岩手県(0.95 )、富山県(0.8 )が多く、累積では岩手県(8.0 )、広島県(5.8 )が多い。

◆結核サーベイランス月報 1月21日集計分
 12月の新登録患者数は2,430人(男性1,527人、女性903人)で、このうち活動性肺結核患者は1,966 (うち喀痰塗抹陽性者は813人)であった。
都道府県・政令指定都市別の新登録患者数は、東京都(340 人)、大阪府(大阪市を除く)(150人)、大阪市(101人)、埼玉県(さいたま市を除く)(97人)、愛知県(名古屋市を除く)(94
人)が多い。
 また、別掲により集計されているマル初者数*は499 人、非定型抗酸菌陽性者数は243 人であった。


*マル初…結核の感染が強く疑われるが発病はしておらず、発病予防のための内服を行っている者。
 詳しいコメントは、結核研究所の結核発生動向調査結果報告(http://www.jata.or.jp/tbmr/tbmr. htm )をご覧ください。
 また、9月19日に、2002年の結核発生動向調査年報が出されました。詳しくは、結核研究所のホームページ(http://www.jata.or.jp )でご覧下さい。 



  注目すべき感染症

◆インフルエンザ

 2004年第3 週のインフルエンザの定点当たり報告数は8.44 であり、多くの都道府県でインフルエンザの流行シーズンに突入した。定点当たり報告数が10 を超えていた都道府県としては、栃木県(19.7)、群馬県(19.6)、埼玉県(18.9 )、宮城県(18.2)、愛知県(17.6)、福島県(17.5 )、岐阜県(14.3)、長野県(14.1)、千葉県(13.4 )、静岡県(13.3)、山形県(12.8)、新潟県(12.5 )、鳥取県(11.2)、茨城県(11.0)、三重県(10.7)などがある(図)。また、インフルエンザ様疾患に伴う休校は4 件(昨年同期14)、学年閉鎖は21 件(同146 )、学級閉鎖は61 件(同491)であり、徐々に増加しているが、昨シーズンに比べると少ない。

図. 都道府県別インフルエンザ流行状況

 これまでに確認されたインフルエンザウイルスは、ほとんどがAH3 型である。
「インフルエンザのQ &A 」「国内患者発生動向調査」「ウイルス分離状況」「抗体保有状況」「学校欠席者数」などインフルエンザの総合的な情報については、以下のURL を参照されたい。
 ○http://idsc.nih.go.jp/others/topics/newpage2.html
インフルエンザの流行レベルマップについては、以下のURL をご参照されたい。
 ○http://idsc.nih.go.jp/others/topics/inf-keiho/guide03.html

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