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第52週ダイジェスト
(2003年12月22日〜28日)

・発生動向総覧
・注目すべき感染症

 をPDF版よりピックアップして掲載しています。

 発生動向総覧

〈第52週コメント〉1月7日集計分
全数報告の感染症
*「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」の改正(11月5日施行)により、対象疾患、分類が一部変更されました(第43号「速報」参照)。本週の集計は、11月3、4日届け出分も含め新分類にて表記しました。

注意:これは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計を行いますので、当該週に診断された症例の報告が、集計の期日以降に届くこともあります。それらについては、発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。宜しく御理解下さい。

1類感染症:

報告なし

2類感染症:

細菌性赤痢 7例(推定感染地域:国内1 例、インドネシア4 例、タイ1 例、インド/ネパール1例)

3類感染症:

腸管出血性大腸菌感染症25例(うち有症者10例)
報告の多い都道府県:熊本県15例(うち、14例は同一の保育園での集団発生)
血清型・毒素型:O157 VT1 ・VT2 (4例)、O111 VT1 ・VT2(4例)、 O26 VT1(4例)、その他(13例)
年齢:10 歳未満(18例)、10代(2例)、20代(4例)、40 代(1例)

4類感染症:

オウム病1例(推定感染源:ハト)
つつが虫病30例(鹿児島県24例、宮崎県4例)
レジオネラ症1 例(64歳)

5類感染症:

アメーバ赤痢7 例(推定感染地域:国内4例、インド1例、サイパン1例、不明1例)

ウイルス性肝炎 2例

C 型1例(推定感染経路:不明)
EB ウイルス1 例

クロイツフェルト・ヤコブ病 4例(いずれも孤発性)

後天性免疫不全症候群16 例

(AIDS 5例、無症候10例、その他1例)
推定感染経路:性的接触13例(異性間6例、同性間7例)、不明3例
推定感染地域:国内12例、中国1例、ウガンダ1 例、不明2例

梅毒 4例(早期顕症II 期2例、無症候2例)

バンコマイシン耐性腸球菌感染症 3例

VanB 1例(菌検出検体:尿)
VanC 2例(菌検出検体:腹水、血液各1 例)

急性脳炎1例(病原体不明.32 歳)
(補)他に、細菌性赤痢1例、梅毒1例の報告があったが削除予定。また報告遅れとして、E型肝炎1例(推定感染地域:インド)、急性脳炎1 例(病原体不明.51歳)の報告があった。

定点把握の対象となる4類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000 カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000 カ所)、眼科定点(約600 カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。

当該週と過去5年間の平均(過去5年間の前週、当該週、後週の合計15週の平均)の比を対数にてグラフ上に表現した。1標準偏差を超えた場 合黄で、2標準偏差を超えた場合赤で色分けしている。

小児科定点報告疾患:インフルエンザの定点当たり報告数は第46 週頃より徐々に増加が認められ、第52 週は流行開始の基準値としている1.0を上回った。都道府県別では山形県(9.8)、群馬県(9.1)、福島県(9.0)が多い(「注目すべき感染症」参照)。咽頭結膜熱の定点当たり報告数は第29 週をピークとし、その後減少し続けた後、第43 週から再び増加傾向が認められており、第52週も増加した。第52 週までの累積定点当たり報告数の過去10年間の平均と比較して、3倍を示す大きな流行となっている。都道府県別では和歌山県(2.6)、山形県(1.6)が多い(「注目すべき感染症」参照)。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は第34週から増加傾向が認められていたが、第52週は減少した。過去5年間の同時期(前週、当該週、翌週)と比較してやや多く、都道府県別では鳥取県(4.3)、山形県(3.1)、富山県(2.9)が多い。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は第43 週から増加していたが、第52 週は減少した。過去5年間の同時期と比較してやや多く、都道府県別では大分県(40.0)、宮崎県(28.9 )が多い。水痘の定点当たり報告数は第41週から増加しており、第52週も増加した。都道府県別では新潟県(5.6)、熊本県(5.2)が多い。風疹の定点当たり報告数は微増し、都道府県別では大分県(0.7)が全国の報告数の約半数を占めている。RS ウイルス感染症の報告数は、34都道府県(0の報告も含む)から合計434 例であった。

基幹定点報告疾患:マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は著減して0.24 で、都道府県別では岡山県(2.0 )、大阪府(1.2 )が多い。

過去1年間の動き(グラフ)



 注目すべき感染症

◆インフルエンザ

 第52 週のインフルエンザの定点当たり報告数は1.79 であり、流行シーズンに突入した(図1)。都道府県別では、島根県、徳島県を除くすべての都道府県から報告がある。図2 に定点当たり報告数が1.0 以上の都道府県を示すが、東日本からの報告が多くなっている。第52 週には定点医療機関から8,396 例の報告があったが、これは昨シーズン同週の40,933 例と比べると少ない。
 また、インフルエンザ様疾患に伴う休校、学年閉鎖、学級閉鎖の数は、学校の定期休暇に伴い、2003年12月21日〜2004年1 月3日の期間の集計であるが、東京都(5)、北海道(5)、山形県(2)から報告があった。これまでに確認されたインフルエンザウイルスは、AH3型が中心になっている。
 「インフルエンザのQ&A 」「国内患者発生動向調査」「ウイルス分離状況」「抗体保有状況」「学校欠席者数」などインフルエンザの総合的な情報については、以下のURL を参照されたい。

図1.過去5シーズンにおけるインフルエンザの週別発生状況

図2. 都道府県別インフルエンザ流行状況(第52週)

 ○http://idsc.nih.go.jp/others/topics/newpage2.html

インフルエンザの流行レベルマップについては、以下のURL を参照されたい。
 ○http://idsc.nih.go.jp/others/topics/inf-keiho/index.html

◆咽頭結膜熱

 咽頭結膜熱は例年夏季に流行を迎えるが、今年は例年よりも報告数が多く推移してきている。
 第29 週をピークとしてその後順調に低下したが、第43 週から再び増加がみられている。

図.咽頭結膜熱の年別週別発生状況

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