HTMLトップページへ戻る

第39週ダイジェスト
(2003年9月22日〜28日)
  • 発生動向総覧
  • 注目すべき感染症
 をPDF版よりピックアップして掲載しています。


 発生動向総覧

〈第39週コメント〉10月2日集計分
全数報告の感染症
注意:これは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計を行いますので、当該週に診断された症例の報告が、集計の期日以降に届くこともあります。それらについては、発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。宜しく御理解下さい。

1類感染症:

報告なし

2類感染症:

コレラ 1例(推定感染地域:インド)
細菌性赤痢 7例(推定感染地域:国内1例、中国1例、インド1例、インドネシア1例、エジプト1例、イエメン1例、不明1例)
腸チフス 1例(推定感染地域:ミャンマー)
パラチフス 1例(推定感染地域:中国)

3類感染症:

腸管出血性大腸菌感染症 49例(うち有症者31例)
報告の多い都道府県:大阪府11例、東京都8例
血清型・毒素型:O157 VT1・VT2(18例)、O157 VT2(12例)、O26 VT1(7例)、その他(12例)
年齢:10歳未満(18例)、10代(6例)、20代(10例)、30代(9例)、40代(3例)、50代(1例)、60代(2例)、70歳以上(0例)

4類感染症:

アメーバ赤痢 3例(推定感染地域:国内2例、ミャンマー1例)

急性ウイルス性肝炎 2例

B型1例(推定感染経路:性的接触)
C型1例(推定感染経路:不明)

クロイツフェルト・ヤコブ病 1例(孤発例、45歳)
劇症型溶血性レンサ球菌感染症 1例(30歳、死亡)

後天性免疫不全症候群 8例

(AIDS 2例、無症候6例)
男性/女性:8例/0例
推定感染経路:性的接触4例(異性間1例、同性間3例)、不明4例
推定感染地域:国内6例、不明2例

ツツガムシ病 1例(岩手県)
日本紅斑熱 1例(島根県)
梅毒 2例(早期顕症II期1例、晩期顕症1例)
マラリア 1例(熱帯熱_推定感染地域:ケニア)
レジオネラ症 3例(51歳、61歳、72歳)

定点把握の対象となる4類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000 カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000 カ所)、眼科定点(約600 カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。

当該週と過去5年間の平均(過去5年間の前週、当該週、後週の合計15週の平均)の比を対数にてグラフ
上に表現した。1標準偏差を超えた場 合黄で、2標準偏差を超えた場合赤で色分けしている。

小児科定点報告疾患:咽頭結膜熱の定点当たり報告数は第29週をピークとし、その後は週により緩急はあるものの減少し続けている。第16週以降過去10年間の当該週と比較して最高の値であり、都道府県別では愛媛県(1.1)、岐阜県(0.7)、鳥取県(0.7)、高知県(0.7)が多い。手足口病の定点当たり報告数は第29週をピークとし、5週続けて減少した後、第35、36週と2週続けて微増したが、その後再び減少し続けている。過去5年間の同時期(前週、当該週、翌週)と比較してやや多く、都道府県別では秋田県(5.6)、岩手県(5.0)、熊本県(4.6)が多い。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は第29週をピークとし、その後は減少し続けており、都道府県別では宮崎県(3.0)、愛媛県(2.2)、北海道(1.9)が多い。

基幹定点報告疾患:無菌性髄膜炎の定点当たり報告数は減少して0.10で、都道府県別では福井県(0.8)、栃木県(0.6)が多い。マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は増加して0.28で、都道府県別では岡山県(1.6)、茨城県(1.1)が多い。


 注目すべき感染症

◆マイコプラズマ肺炎

 マイコプラズマ肺炎は1999年3月までの旧感染症発生動向調査では、異型肺炎として報告されてきたが、そこでは必ずしもマイコプラズマ肺炎だけでなく、他のウイルス性の肺炎なども含まれていた。しかし、1999年4月以降の発生動向調査では、マイコプラズマ肺炎として独立した4類感染症定点把握疾患となった。また、旧発生動向調査では小児科・内科定点からの報告であったが、現在は全国約500カ所の基幹定点医療機関からの報告となっている。

図.マイコプラズマ肺炎の年度別週別発生状況

 本疾患は従来、4年周期でオリンピックのある年に流行を繰り返してきたが、近年この傾向は崩れつつある。年間での推移をみると、晩秋から冬にかけて増加がみられていたが、感染症法施行後に新たなサーベイランスシステムになっても、この傾向に変化はない。図に感染症法施行以来の週別の定点当たり報告数を示す。2003年の報告数は、過去の報告より高く推移している。特に5月下旬〜6月上旬に報告数が多かったが、ここ数週間も報告数の増加がみられており、今後の動向に注意が必要である。今冬のSARS対策としても、鑑別診断としてインフルエンザやマイコプラズマ肺炎のような呼吸器感染症は重要であり、可能な限り病原体を把握することが望まれる。

   発生動向総覧トップページへ戻る

    IDWRトップページへ戻る

 

 

 

PDF版ダウンロードはこちらから