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第37週ダイジェスト
(9月8日〜14日)
  • 発生動向総覧 (8月報含む)
  • 注目すべき感染症
 をPDF版よりピックアップして掲載しています。


 発生動向総覧

〈第37週コメント〉9月18日集計分
全数報告の感染症
注意:これは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計 を行いますので、当該週に診断された症例の報告が、集計の期日以降に届くこともあります。それらについては、発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。宜しく御理解下さい。

1類感染症:

報告なし

2類感染症:

細菌性赤痢18 例(推定感染地域:国内2 例、中国11 例、インドネシア1 例、フィリピン
1 例、ロシア1 例、ウズベキスタン1 例、カザフスタン1 例)(中国11 例は同一ツアー)
腸チフス3 例(推定感染地域:インドネシア2 例、中国1 例)(うち2 例は疑似症)
パラチフス1 例(推定感染地域:中国)

3類感染症:

腸管出血性大腸菌感染症 79 例(うち有症者48 例)
報告の多い都道府県:千葉県13例、東京都9例
血清型・毒素型:O157 VT2 (19例)、O157 VT1 ・VT2 (16例)、O26 VT1 (11 例)、その他(33 例)
年齢:10歳未満(43例)、10代(10例)、20代(13例)、30代(5例)、40代(1例)、50 代(4例)、60代(1例)、70歳以上(2例)

4類感染症:

アメーバ赤痢 2 例(推定感染地域:国内1 例、不明1 例)
エキノコックス症 1 例(多包条虫)
オウム病 1 例(推定感染源:インコ)
急性ウイルス性肝炎 1 例 B 型(推定感染経路:性的接触)
クロイツフェルト・ヤコブ病 1 例(孤発例、76 歳)

後天性免疫不全症候群10例

(AIDS 1 例、無症候9 例)
男性/女性:10 例/0 例
推定感染経路:性的接触9 例(すべて同性間)、不明1 例
推定感染地域:国内8 例、不明2 例

ジアルジア症 1例(推定感染地域:国内)
梅毒 4 例(早期顕症I 期2 例、早期顕症II 期1 例、無症候1 例)
破傷風 2 例(64 歳、66 歳)
レジオネラ症 4 例(56 歳、62 歳、70 歳、80 歳)

定点把握の対象となる4類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000 カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000 カ所)、眼科定点(約600 カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。

当該週と過去5年間の平均(過去5年間の前週、当該週、後週の合計15週の平均)の比を対数にてグラフ
上に表現した。1標準偏差を超えた場 合黄で、2標準偏差を超えた場合赤で色分けしている。

小児科定点報告疾患:咽頭結膜熱の定点当たり報告数は第29 週をピークとし、その後減少が続
いているものの、前週、今週は微減にとどまっている。第16 週以降、過去10 年間の当該週と比較
して最高の値であり、都道府県別では鳥取県(1.4 )、滋賀県(1.2 )、大分県(1.2 )が多い。A 群溶
血性レンサ球菌咽頭炎
の定点当たり報告数は増加し、過去5 年間の同時期と比較してやや多く、
都道府県別では山形県(1.5 )、鳥取県(1.4 )、大分県(1.2 )が多い。感染性胃腸炎の定点当たり
報告数は微増し、過去5 年間の同時期と比較してやや多く、都道府県別では福井県(5.4 )、富山
県(4.4 )、宮崎県(4.4 )が多い。手足口病の定点当たり報告数は第29 週をピークとし、その後5 週
続けて減少した後、2 週続けて微増したが、今週は減少した。第32 週以降、過去10 年間の当該
週と比較して最も多く、都道府県別では岩手県(6.7 )、秋田県(5.1 )、長野県(4.8 )が多い。ヘル
パンギーナ
の定点当たり報告数は第29 週をピークとし、その後は減少し続けているが、過去5 年
間の同時期と比較してやや多く、都道府県別では宮崎県(3.9 )、福井県(3.5 )、愛媛県(3.5 )が多い。
基幹定点報告疾患:無菌性髄膜炎の定点当たり報告数は微減して0.11 で、都道府県別では鳥取
県(1.8 )、福井県(0.8 )が多い。マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は減少して0.23 で、都道
府県別では山形県(1.4 )、岡山県(1.0 )、大阪府(0.9 )が多い。


〈8月コメント〉
◆性感染症について  2003年9月10日集計分 性感染症定点数:920

 2003年8月の月別定点当たり患者報告数は、性器クラミジア感染症が3.67(男1.55、女2.12)、性器ヘルペスウイルス感染症が0.89(男0.38、女0.51)、尖形コンジロームが0.57(男0.29、女0.27)、淋菌感染症が2.00 (男1.55 、女0.45)で、4疾患のうち、男性では性器クラミジア感染症および淋菌感染症、女性では性器クラミジア感染症が多かった(図1)。前月に比べ、ほとんどの疾患がやや減少した(グラフ総覧参照)。過去4 年間の同時期と比較すると、女性の尖形コンジローム、淋菌感染症で平均+1 標準偏差(SD)を超えている(図2)

図1.各性感染症が総報告数に占める割合(8月)


 定点当たり報告数を年齢階級別・男女別に比較すると、いずれの疾患でもピークは20〜29 歳にあったが、性器ヘルペスウイルス感染症では50 代以降の高年齢層からの報告も少なくない(図3:PDF参照)。
 淋菌感染症ではいずれの年齢層でも男性の占める割合が高いが、他の3 疾患では若年齢層で女性の報告者数が多い傾向が認められた。
 感染症法が施行された1999年4月以降について、若年齢層(15〜29 歳)での各性感染症の定点当たり報告数を月別・男女別に図4(PDF版参照)に示した。前月に比べて、横ばいあるいはやや減少している。

注:本発生動向調査で得られる性感染症患者報告数および解析結果は、現在の定点の構成に基づく制限のもとに解釈される必要がある。詳細はIDWR 週報2000年第46号(10月報)4ページの記載を参照されたい。

◆薬剤耐性菌について (9 月10 日集計分)基幹定点数:470

7月の基幹定点総数:

470.

7月の定点当たり報告数:

メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA )感染症 3.95
(前月:3.93 、前年同月:4.14 )
ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP )感染症 0.84
(前月:0.96 、前年同月:0.76 )
薬剤耐性緑膿菌感染症 0.17 (前月:0.15 、前年同月:0.16 )

年齢階級別:

MRSA 感染症・・・

65 歳以上が全体の65%(70 歳以上が56%)を占めている。

 

PRSP 感染症・・・

5 歳未満の小児に多く、全体の59%を占めている。また65 歳以上の高齢者にも多く、全体の21%を占めている。

薬剤耐性緑膿菌感染症・・・

65 歳以上が全体の62%(70 歳以上が49%)を占めている。

性 別:(女性を1として算出した男女比)

MRSA 感染症・・・・・・・・・・・・・1.8/1
PRSP 感染症・・・・・・・・・・・・・・1.5/1
薬剤耐性緑膿菌感染症・・・・・2.1/1

都道府県別:

MRSA 感染症・・・

定点当たり報告数は山口県(8.11 )、栃木県(8.00 )、奈良県(7.83 )が多く、累積では山口県(63.50 )、富山県(60.20 )が多い。

PRSP 感染症・・・

定点当たり報告数は千葉県(6.22 )が多く、累積では千葉県(55.67 )、富山県(41.80 )が多い。

薬剤耐性緑膿菌感染症・・・

定点当たり報告数は岩手県(0.75 )、宮城県(0.73 )が多く、累積では岩手県(3.90 )、広島県(3.55 )が多い。

◆結核サーベイランス月報 9月24日集計分
 8 月の新登録患者数は2,641 人(男性1,677 人、女性964 人)で、このうち活動性肺結核患者は2,125 (うち喀痰塗抹陽性者は990 人)であった。
 都道府県・政令指定都市別の新登録患者数は、東京都(316 人)、大阪府(大阪市を除く) (156 人)、大阪市(152 人)、埼玉県(さいたま市を除く)(117 人)、兵庫県(神戸市を除く)(115 人) が多い。
 また、別掲により集計されているマル初者数*は559 人、非定型抗酸菌陽性者数は266 人であった。


*マル初…結核の感染が強く疑われるが発病はしておらず、発病予防のための内服を行っている者。
詳しいコメントは、結核研究所の結核発生動向調査結果報告(http://www.jata.or.jp/tbmr/tbmr. htm )をご覧ください。
また、9 月19 日に、2002 年の結核発生動向調査年報が出されました。詳しくは、結核研究所のホームページ(http://www.jata.or.jp )でご覧下さい。 
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訂正:2003 年第33 号結核サーベイランス月報記事内におい
て誤りがありましたので、以下のように訂正いたします。
(誤)6 月の新登録患者数は
 ↓
(正)7 月の新登録患者数は
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  注目すべき感染症

◆腸管出血性大腸菌感染症

 2003 年の腸管出血性大腸菌感染症の報告数は、過去4 年間と比べて比較的少なく推移して きた(図)。特に第31 〜33 週は通常報告数が多い時期であるが、本年の報告数は各週ともに100 例に満たず、少なかった。第34 週には大幅に増加し、第35 週にはほとんど不変であったが、第36 週では減少し、第37 週ではさらに減少した。

図 .腸管出血性大腸菌感染症の週別報告数(1999 年4 月〜現在まで)
 第37週の報告数は今のところ79例で(昨年の同時期は102 例)、性別では男性40 例、女性39例であった。うち有症者は48 例で、報告例全体の61%であった。都道府県別では多い順に千 葉県13 例、東京都9 例などであった。5 歳毎の年齢階級別にみると(0歳、1 〜4 歳、70 歳以上は別 扱い)、1〜4 歳26例、5 〜9 歳13 例、20〜24 歳8例と、1〜4 歳の報告数が多かった。これは保育 所、幼稚園関連の症例が多かったためと思われる。
 血清型についてはO157 が44 例、O26 が13 例であった。血清型とベロ毒素の型の組み合わせ では多い順に、O157 VT2 が19 例、O157 VT1 ・VT2 が16 例、O26 VT1 が11 例などとなっている。 2003 年の第37 週までの累積報告数は今のところ1,879 例(昨年の同時期は2,598 例)となっており、 昨年よりは少ないものの、集団発生の報告が続いていることから、依然として注意を要する。
 今年に入って、死亡例(届け出時点)は2例が報告されている。

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