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第36週ダイジェスト
(2003年9月1日〜7日)
  • 発生動向総覧
  • 注目すべき感染症
 をPDF版よりピックアップして掲載しています。


 発生動向総覧

〈第36週コメント〉9月11日集計分
全数報告の感染症

1類感染症:

報告なし

2類感染症:

細菌性赤痢 8 例(推定感染地域:国内1例、インド6例、ミャンマー1例)
腸チフス 1 例(推定感染地域:不明)

3類感染症:

腸管出血性大腸菌感染症 120 例(うち有症者85 例)
報告の多い都道府県:大阪府16 例、兵庫県13 例、石川県9例、福岡県8例
血清型・毒素型:O157 VT2 (43例)、O157 VT1 ・VT2 (31例)、O26 VT1 (21例)、その他(25例)
年齢:10歳未満(62例)、10代(7例)、20代(18例)、30代(14例)、40代(3例)、50代(4例)、60代(7例)、70歳以上(5例)

4類感染症:

アメーバ赤痢 5 例(推定感染地域:国内4 例、シンガポール1 例)

急性ウイルス性肝炎 3例

A型1例(推定感染地域:国内)
B型2例(推定感染経路:性的接触1 例、家庭内水平感染1例)

後天性免疫不全症候群 8例

(AIDS 2例、無症候6例)男性/女性:6例/2例
推定感染経路:性的接触7例(異性間3例、同性間4例)、不明1例
推定感染地域:国内8例

ジアルジア症1 例(推定感染地域:不明)
髄膜炎菌性髄膜炎 1 例(推定感染地域:国内)
デング熱1 例(推定感染地域:タイ)
日本紅斑熱 2 例(徳島県1 例、高知県1 例)
梅毒 7 例(早期顕症I 期3 例、早期顕症II 期3 例、無症候1 例)
レジオネラ症 3 例(48 歳、52 歳、69 歳)
※訂正:前週(第35週)の日本紅斑熱の報告で、「愛媛県では19 年ぶりの発生」と記載しましたが、正しくは「愛媛県では初の報告」でした。

定点把握の対象となる4類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000 カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000 カ所)、眼科定点(約600 カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。

当該週と過去5年間の平均(過去5年間の前週、当該週、後週の合計15週の平均)の比を対数にてグラフ
上に表現した。1標準偏差を超えた場 合黄で、2標準偏差を超えた場合赤で色分けしている。

小児科定点報告疾患:咽頭結膜熱の定点当たり報告数は第29週をピークとし、その後は減少し続けているが、過去10年間の当該週と比較して第16週以降最高の値となっている。過去5年間の同時期(前週、当該週、後週)と比較しても未だかなり多く、都道府県別では前週より増加したところもあり、滋賀県(1.8)、高知県(1.4)、長野県(1.2)が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は第24週から10週間連続して減少した後、34 週は増加、35週は微減、今週は再び微増し増加傾向が認められる。過去5年間の同時期と比較してやや多く、都道府県別では山形県(1.2)、鳥取県(1.2)、宮崎県(1.1)が多い。感染性胃腸炎は微増し、過去5年間の同時期と比較してやや多く、都道府県別では鳥取県(5.3)、富山県(4.2)、宮崎県(4.2)が多い。手足口病の定点当たり報告数は第29週をピークとし、その後5 週間連続して減少した後、前週、今週と2週続けて微増した。過去5年間の同時期と比較してかなり多く、都道府県別では青森県(6.1)、岩手県(5.6)、長野県(4.9)が多い。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は第29 週をピークとし、その後は減少し続けているが、過去5年間の同時期と比較してやや多く、都道府県別では宮崎県(4.5)、長野県(4.0)、新潟県(3.9)が多い。

基幹定点報告疾患:無菌性髄膜炎炎の定点当たり報告数は微増して0.11で、都道府県別では福井県(1.2)、栃木県(0.7)が多い。マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は増加して0.25で、本年は過去4年間に比し高く推移してきたが、第31 週以降は昨年、一昨年と大差のない値となっている。都道府県別では山形県(1.3)、岡山県(1.0)、大阪府(0.7)、宮崎県(0.7)が多い。


 注目すべき感染症

◆腸管出血性大腸菌感染症

 2003年の腸管出血性大腸菌感染症の報告数は、過去4年間と比べて比較的少なく推移してきた(図)。特に第31〜33週は通常報告数が多い時期であるが、本年の報告数は各週ともに100例に満たず、少なかった。第34週には大幅に増加し、第35週にはほとんど不変であったが、第36週では減少した。

図.腸管出血性大腸菌感染症の週別報告数(1999年4月〜現在まで)

 第36週の報告数は今のところ120例で(昨年の同時期は79例)、性別では男性57例、女性63例であった。うち有症者は85例で、報告例全体の71%であった。都道府県別では多い順に大阪府16例、兵庫県13 例などであった。5歳毎の年齢階級別にみると(0歳、1〜4歳、70歳以上は別扱い)、1〜4 歳38例、5〜9 歳21例、30〜34 歳12例と、1〜4歳の報告数が多かった。これは保育所、幼稚園関連の症例が多かったためと思われる。
 血清型についてはO157が78例、O26が23 例であった。血清型とベロ毒素の型の組み合わせでは多い順にO157 VT2 が43例、O157 VT1 ・VT2 が31 例、O26 VT1が21例などとなっている。2003年の第36週までの累積報告数は1,785 例(昨年の同時期は2,492例)となっており、昨年よりは少ないものの、集団発生の報告が続いていることから、依然として注意を要する。
 今年に入って、死亡例(届け出時点)は2例が報告されており、第36週には溶血性尿毒症症候群(HUS)の事例が1例(9歳)報告されている。

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