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第30週ダイジェスト
(7月21日〜7月27日)
  • 発生動向総覧
  • 注目すべき感染症
 をPDF版よりピックアップして掲載しています。


 発生動向総覧

〈第30週コメント〉7月31日集計分
全数報告の感染症

1類感染症:

報告なし

2類感染症:

細菌性赤痢6 例(推定感染地域:国内1例、インドネシア2例、インド1例、タイ/インド1例、スリランカ1例)、腸チフス1例(疑似症、推定感染地域:ネパール)、パラチフス1例(推定感染地域:ミャンマー)

3類感染症:

腸管出血性大腸菌感染症80例(うち有症者44例)
報告の多い都道府県:兵庫県(8例)、千葉県(7例)、東京都(7例)、沖縄県(5例)
   血清型・毒素型:O157 VT1・VT2(40例)、O26 VT1(18例)、O157 VT2(8例)、その他(14例)
   年齢:10歳未満(33例)、10代(7例)、20代(17例)、30代(5例)、40代(2例)、50代(8例)、60代(3例)、70歳以上(5例)

4類感染症:

アメーバ赤痢3例(推定感染地域:いずれも国内)、急性ウイルス性肝炎1例(B型_推定感染経路:不明)、クリプトスポリジウム症1例(推定感染地域:国内)、クロイツフェルト・ヤコブ病2例(ともに孤発例)、ジアルジア症1例(推定感染地域:インド)、ツツガムシ病1 例、日本紅斑熱1 例(高知県)、梅毒6例(早期顕症1例、無症候5例)、破傷風2例(69歳、75歳)、レジオネラ症1例

後天性免疫不全症候群13例

(AIDS 1例、無症候11例、その他1例)
推定感染経路:性的接触11例(異性間4例、同性間7例)、不明2例
推定感染地域:国内11例、不明2例

(補)・報告遅れとして、鳥取県からE 型肝炎2例(うち1例は死亡)の報告があり、イノシシ肉の生食によるものと推定されている。
・他に細菌性赤痢1 例(疑似症)の報告があったが、削除予定。

定点把握の対象となる4類感染症(週報対象のもの)
 咽頭結膜熱の定点当たり報告数は減少したが、過去5年間の同時期と比較してかなり多く、また、過去10年間の同時期と比較して、本年16週以降最高の値で推移している。都道府県別では大分県(2.1)、長野県(1.4)、香川県(1.3)が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は減少したが、過去5年間の同時期と比較してやや多く、都道府県別では、宮崎県(2.1)、山口県(1.8)、富山県(1.5)が多い。手足口病の定点当たり報告数は減少したが、過去5年間の同時期と比較してやや多く、都道府県別では広島県(13.4)、山口県(12.7)、愛媛県(9.3)が多い。マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は微増して0.21で、過去4年間の同時期と比較してやや多く、都道府県別では岡山県(1.6)、奈良県(1.0 )が多い。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は大きく減少し、都道府県別では宮城県(10.3)、福島県(9.2)が多い。無菌性髄膜炎の定点当たり報告数は減少して0.16で、都道府県別では奈良県(1.3)、京都府(1.2)が多い。

当該週と過去5年間の平均(過去5年間の前週、当該週、後週の合計15週の平均)の比を対数にてグラフ
上に表現した。1標準偏差を超えた場 合黄で、2標準偏差を超えた場合赤で色分けしている。


 注目すべき感染症

◆咽頭結膜熱

 咽頭結膜熱の定点当たり報告数は例年よりかなり多い状態で推移していたが、第30週になり第18週以降で初めて、前週に比べて減少した(図)。報告数が多かったのは大分県2.9→2.1 (第29週→第30週)、長野県1.9→1.4 、香川県1.8 →1.3 などであるが、前週に比べると減少している都道府県が多い。本年、現在までに咽頭結膜熱患者から分離されている病原体は、アデノウイルス3型、2型が主である。1996〜98年に増加して、肺炎などの重症例・死亡例が発生した7型も分離されている。引き続き、プールなどでの感染の拡大に注意を要する。

図. 過去10年間の咽頭結膜熱の週別定点当たり報告数



◆手足口病

 手足口病は、口腔粘膜や手、足に現れる水疱性の発疹を主症状とした急性ウイルス感染症で、幼児を中心に夏季に流行が見られる。コクサッキーウイルスA16型(CA16)、CA10、エンテロウイルス71型(EV71)などのエンテロウイルスによりおこり、一般的に予後は良好な疾患である。例年、第27 〜30週にかけて発生のピークを迎える。

図. 過去10年間の手足口病の週別定点当たり報告数

1985年、1990年、1995年、2000年と5年おきに比較的大きな流行がみられており、今年は定点当たり報告数は第25週から第29週まで大きく増加し、第28、29週では1995年、2000年に次いで報告数が多くなっていたが、第30週になり減少に転じた(図)。第30週では多い順に、広島県20.6→13.4 (第29週→第30 週)、山口県12.0→12.7 、愛媛県7.7 →9.3 、埼玉県9.6 →7.2となっており、多少増加した地域もあるものの、多くの都道府県で減少している。地研からのウイルス検出報告では、2001年、2002年にはCA16が大部分を占めていたが、本年はこれまでEV71が多く分離されており、重症化例の発生、および流行状況についての監視が必要である。

 

◆無菌性髄膜炎

 無菌性髄膜炎は、全国約500の基幹定点医療機関から報告される疾患である。エンテロウイルスが原因の多くを占め、例年、夏季を中心に患者が増加する。今年は定点当たり報告数は第27週から第29週にかけて増加していたが、第30週には減少に転じた。昨年はエコーウイルス13型(E13)による流行がみられたが、今年はこれまでにE30をはじめ、エンテロウイルス71型を含む様々な種類のウイルスが分離されている。報告数が減少に転じたとはいえ、手足口病、ヘルパンギーナなどのエンテロウイルス感染症が流行している時期でもあり、発生動向を注視する必要がある。

図. 過去5年間の無菌性髄膜炎の週別定点当たり報告数

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