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第26週ダイジェスト
(6月23日〜6月29日)
  • 発生動向総覧
  • 注目すべき感染症
 をPDF版よりピックアップして掲載しています。


 発生動向総覧

〈第26週コメント〉7月4日集計分
全数報告の感染症

1類感染症:

報告なし

2類感染症:

細菌性赤痢3 例(推定感染地域:国内1 例、インド1 例、不明1 例)、腸チフス2 例(推定感染地域:フィリピン、ネパール各1 例)

3類感染症:

腸管出血性大腸菌感染症62例(うち有症者44例):最多報告は東京都、岡山県(ともに7例)、血清型・毒素型はO157 VT1 ・VT2 (24例)、O157 VT2 (17例)、O26 VT1 (9例)、その他(12例)

4類感染症:

アメーバ赤痢7例(推定感染地域:国内4例、韓国1例、不明2例)、クリプトスポリジウム症1例(推定感染地域:ナイジェリア)、劇症型溶血性レンサ球菌感染症1例、
ツツガムシ病4例、日本紅斑熱1例(高知県)、梅毒4例(いずれも早期顕症)、破傷風1例(70歳)、バンコマイシン耐性腸球菌感染症1例(菌検出検体:胆汁、遺伝子型:VanC)、マラリア1 例(熱帯熱_推定感染地域:ナイジェリア)、レジオネラ症1 例

急性ウイルス性肝炎9例

A 型4 例(推定感染地域:国内3 例、インド1 例)
B 型3 例(推定感染経路:いずれも性的接触)
C 型1 例(推定感染経路:不明)
E 型1 例(推定感染地域:アメリカ/ベトナム)

後天性免疫不全症候群4例

(AIDS 1例、無症候3例)
推定感染経路:性的接触4例(異性間1例、同性間3例)
推定感染地域:国内4 例

(補)他に、梅毒1 例(無症候)の報告があったが、報告基準を満たさず削除予定。

定点把握の対象となる4類感染症(週報対象のもの)
 咽頭結膜熱の定点当たり報告数は微増し、過去5年間の同時期と比較してかなり多く、また過去10年間と比較して本年16週以降最高の値で推移している。都道府県別では大分県(2.4)、富山県(2.1)、福井県(1.2)が多い。マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は減少し、0.18 であるが、過去4年間と比較してかなり多く、都道府県別では岡山県(1.0)、青森県(0.8)、宮城県(0.8)が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は減少し、都道府県別では宮崎県(4.1)、富山県(2.7)、山形県(2.4)が多い。手足口病の定点当たり報告数は大きく増加し、都道府県別では広島県(18.5)が非常に多く、次いで静岡県(8.1)、島根県(7.1)が多い。伝染性紅斑の定点当たり報告数は減少し、都道府県別では北海道(1.1)、静岡県(0.8)、三重県(0.8)が多い。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は大きく増加し、都道府県別では三重県(8.8 )、山口県(8.8 )、鳥取県(8.7)が多い。麻疹(成人麻疹を除く)の定点当たり報告数は前週と同値で、都道府県別では福島県(0.4 )、栃木県(0.3)が依然として多い。急性出血性結膜炎の定点当たり報告数は微増して0.05 で、都道府県別では宮崎県(4.0)、長崎県(0.9)が多い。流行性角結膜炎の定点当たり報告数は微増して1.09 で、都道府県別では高知県(3.0)、宮崎県(2.5)が多い。無菌性髄膜炎の定点当たり報告数は微増して0.11 で、都道府県別では広島県(0.7)、和歌山県(0.6)が多い。

当該週と過去5年間の平均(過去5年間の前週、当該週、後週の合計15週の平均)の比を対数にてグラフ
上に表現した。1標準偏差を超えた場 合黄で、2標準偏差を超えた場合赤で色分けしている。


 注目すべき感染症

◆手足口病

 手足口病は、口腔粘膜や手、足に現れる水疱性の発疹を主症状とした急性ウイルス感染症で、幼児を中心に夏季に流行が見られる。コクサッキーA16型(CA16)、CA10、エンテロウイルス71型(EV71)などのエンテロウイルスによりおこり、一般的に予後は良好な疾患である。感染は主として、咽頭から排泄されたウイルスの飛沫感染でおこるが、便中に排泄されたウイルスからの経口感染や水疱内容物からの感染などもありうる。便中へのウイルスの排泄は長期間にわたり、症状が消失した患者も2〜4週間にわたり感染源になりうる。

図. 過去10年間の手足口病の週別定点当たり報告数

 例年、第27〜30週にかけてピークを迎える。1985年、1990年、1995年、2000年と5年おきに比較的大きな流行がみられており、今年は今まで、定点当たり報告数は例年並みに推移してきたが、第25週から急峻な立ち上がりをみせている(図参照)
 地研からのウイルス検出報告では、2001年、2002年にはCA16 が大部分を占めていたが、今季はこれまでEV71が多く分離されている(病原体情報参照)。
 近年、マレーシア、台湾などの東南アジア地域でEV71感染による小児の感染症において、中枢神経系の重篤な合併症が起きる例が報告され、国内でも関西地区でEV71 と関連した脳炎による死亡例の報告もある。
 今年EV71 が多く分離されていること、ここ数週間が例年流行のピークであることから、重篤例の発生、及び流行状況についての監視が必要である。


◆咽頭結膜熱

 咽頭結膜熱の定点当たり報告数は例年より多い状態で推移している。第26週でも更に増加し、過去10 年間のうちでも最大となっている。以前から多かった大分県では先週は減少したものの、第26週ではまた上昇に転じて2.4 となった。富山県(2.1)、福井県(1.2)、三重県(1.1)、福岡県(1.1)でも、定点当たり報告数が1.0を超えている。第26週においても、報告された症例の約8割が5歳以下の小児であった。

図. 咽頭結膜熱の週別報告数

 本年、現在までに咽頭結膜熱患者から分離されている病原体は、アデノウイルス3型、あるいは2型が主である。また、数は少ないものの7型も分離されている。
 本疾患は、本格的な夏に入ると報告数がさらに増加すると考えられる。プールを介しての流行もあるので、水泳前後のシャワーやプールの水の消毒の徹底なども大切である。

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