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第03週ダイジェスト
  • 発生動向総覧 (12月報含む)
  • 注目すべき感染症
 をPDF版よりピックアップして掲載しています。


 発生動向総覧〈第03週コメント〉1月23日集計分

全数報告の感染症

1類感染症: 報告なし
2類感染症: 細菌性赤痢6 例(推定感染地:国内1 例、インドネシア2 例、インド、ペルー各1 例、不明1 例)
3類感染症:

腸管出血性大腸菌感染症2 例(すべて有症者)

4類感染症: アメーバ赤痢7 例(推定感染地:国内6例、不明1例)、劇症型溶血性レンサ球菌感染症1 例(創部感染、61歳)、ツツガムシ病3例、レジオネラ症2例
急性ウイルス性肝炎6例 A 型6 例(推定感染地:すべて国内)
クロイツフェルト・ヤコブ病1 例(孤発性)
後天性免疫不全症候群7例 (すべて無症候)
感染経路:すべて同性間性的接触
梅毒3 例(無症候性1 例、早期顕症1例、先天梅毒1例)
マラリア2例 三日熱マラリア1例(推定感染地:ブラジル)
熱帯熱マラリア1例(推定感染地:ガーナ)

定点把握の対象となる4類感染症(週報対象のもの)
 インフルエンザの定点当たり報告数は急速に増加し、過去5年間の同時期に比べやや多い29.15 となった。すべての都道府県で定点当たり報告数が7.0を超え、特に沖縄県(82.2)、宮崎県(69.3 )、鹿児島県(64.6)からの報告が多い。
 他の疾患の定点当たり報告数は、過去5 年間の同時期と比べて多くなってはいない。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎と感染性胃腸炎は前週と比べて大きな変化はないが、依然として前者は富山県(2.6)から、後者は宮城県(14.0)、宮崎県(12.3)、三重県(11.3)からの報告が多い。風疹と麻疹(成人麻疹を除く)の定点当たり報告数は、それぞれ0.01 と0.04 と少ないが、前者では岡山県(0.2)からの報告が約半数と多く、後者では宮崎県(0.6)と福島県(0.3)とで約3 割を占めた。急性脳炎(日本脳炎を除く)の定点当たり報告数が0.01 とわずかに増加した。水痘の定点当たり報告数は減少したが、都道府県別では沖縄県(3.5)からの報告数が多い。マイコプラズマ肺炎(0.15 )の報告数は減少したが、引き続き東北地方(0.35)の定点当たり報告数が他地区に比して多い。


当該週と過去5 年間の平均(過去5 年間の前週、当該週、後週の合計15 週の平均)の比を対数にてグラフ
上に表現した。1 標準偏差を超えた場合黄で、2 標準偏差を超えた場合赤で色分けしている。


〈12月コメント〉
◆性感染症について  2003年1月10日集計分

 2002 年12 月の月別定点当たり患者報告数は、性器クラミジア感染症が3.40 (男1.41 、女1.99)、性器ヘルペスウイルス感染症が0.87 (男0.39 、女0.48)、尖形コンジロームが0.47 (男0.26 、女0.22 )、淋菌感染症が1.72 (男1.38 、女0.34 )で、4 疾病のうち、男性では性器クラミジア感染症および淋菌感染症、女性では性器クラミジア感染症が多かった(図1)。前月に比べ、いずれも減少あるいは横ばい傾向にある。(「グラフ総覧」参照)。
図1.各性感染症が総報告数に占める割合(12月)

  過去3 年間の同時期と比較すると、男性の性器ヘルペスウイルス感染症、女性の尖形コンジロームで平均+1 標準偏差(SD)を超えている(図2)

 



 定点当たり報告数を年齢階級別に比較すると(図3)、いずれの疾病でもピークは20 〜29歳にあったが、性器ヘルペスウイルス感染症では50歳代以降の高年齢層からの報告も少なくない。淋菌感染症ではいずれの年齢層でも男性の占める割合が高いが、他の3疾患では若年齢層で女性の報告者数が多い傾向が認められた。(12月の性感染症定点総数は921)
 感染症法が施行された1999 年4月以降について、15 〜29歳の若年齢者層での各性感染症の男女別月別定点当たり報告数を図4に示した。男女共に、冬季に減少が見られる。
 注:本発生動向調査で得られる性感染症患者報告数および解析結果は、現在の定点構成に基づく制限のもとに解釈される必要がある。

◆薬剤耐性菌について 1月10日集計分
【注】()内の+、‐ 、=は、前月に比し定点当たり報告数のそれぞれ増加、減少、不変を表す。
12月の基幹定点総数: 467.
12月の定点当たり報告数: メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症 3.28 (‐ )
ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)感染症 1.51 (+)
薬剤耐性緑膿菌感染症 0.13 (+)
年齢階級別:MRSA 感染症・・・ 高齢者に多く、65 歳以上が全体の68%を占めている。
累積でも65 歳以上が65%に上る。
    PRSP 感染症・・・ 1〜4 歳(0.73)が最も多く、5歳未満が66%を占めている。
累積では1〜4 歳が全体の46%に上り、5歳未満は60%を占めている。
    薬剤耐性緑膿菌感染症・・・ 65 歳以上が全体の76%を占めている。累積でも、65 歳以上は62%を占めている。
性 別: 定点当たり報告数で男性の女性に対する比率を見た場合、MRSA 感染症で1.8 倍、PRSP 感染症で1.3 倍、薬剤耐性緑膿菌感染症では2.0 倍上回っている。
都道府県別:MRSA 感染症・・・ 高知県(7.38)と富山県(7.00)からの報告が多い。
累積では高知県(103.38)と山口県(103.14)からの報告が多く、長崎県(3.73)からの報告が非常に少ない。
    PRSP 感染症・・・ 5 月から引き続き千葉県(8.00 )からの報告が非常に多く、累積でも特に多い(94.25 )。12月に京都府(累積で0.14)から初めての報告があり、青森県からは依然報告がない。
    薬剤耐性緑膿菌感染症・・・ 埼玉県(0.78 )からの報告が多い。東海・北陸地方からは報告がなかった。累積では岡山県(5.25)と東京都(5.10)からの報告が多い。
月 別: MRSA 感染症の定点当たり報告数は、11月に引き続き昨年の同時期を下回っている。PRSP感染症の定点当たり報告数は、6カ月間連続で昨年の同時期を上回っている。

◆結核サーベイランス月報 1月22日集計分

 12 月の新登録患者数は2,551 人、活動性肺結核患者は2,094 人(うち喀痰塗抹陽性患者は919人)であった。
 また、新登録患者数に含まれない(統計的には別掲扱い)マル初*は464 人、非定型抗酸菌陽性者数は226人であった。

*マル初…結核の感染が強く疑われ、発病予防のための治療を受けている者であって、正確には結核発病者ではない。

 コメントは結核研究所の結核発生動向調査結果報告(http://www.jata.or.jp/tbmr/tbmr.htm)をご覧ください。



  注目すべき感染症〈第03週〉

 ◆インフルエンザ

 インフルエンザの定点当たり報告数は2003 年に入って6.2 (第1週)、19.0 (第2週)、29.2 (第3週)と急増している。第3 週では、東北の青森県、宮城県、山形県、岩手県を除く全ての都道府県において定点当たり報告数は10.0 を超えており、全国の多くの地域でインフルエンザが流行してい
(図)。特に九州、北陸などを中心とした都道府県からの報告が多く、全国24 都道府県で定点当たり報告数が30.0 を超えた。
図. 過去10 年間のインフルエンザシーズン毎のトレンドグラフ
 病原体ではA 香港型(H3N2)が分離されたウイルスの大半を占めているが、B型も分離報告がある。A ソ連型(H1N1)については、今シーズンの分離報告は未だない。
 インフルエンザの総合的な情報については、以下のURL を参照されたい。
http://idsc.nih.go.jp/others/topics/newpage2.html

◆インフルエンザ警報・注意報

 第3週においては、全国すべての都道府県にわたり、277の保健所で注意報、230の保健所で警報の基準値を超えている。埼玉県以西ではほとんどの都府県で警報基準値を超えた保健所が認められ、流行は関東地域においても拡大中である。感染症発生動向調査では、同週の全国レベル定点当たり報告数が29.2人となり、過去10年間で同じ週の報告数を比較すると、94/95 シーズン、98/99 、92/93 に続いて4番目の報告数である。
 警報・注意報の地図情報については、以下のURL を参照されたい。
http://idsc.nih.go.jp/others/topics/inf-keiho/trend02.html

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