ウイルス分離は4種類の細胞(HE、HEp-2、RD-18S、Vero)を使用した。Vero細胞においてパレコウイルス様の細胞変性効果(CPE)を現したものについて、パレコウイルスを特異的に増幅するreal-time PCR法 1) によりパレコウイルス遺伝子の確認を行った。パレコウイルス遺伝子が確認されたものについて、VP1領域を増幅するRT-PCR 2) を行い、ダイレクトシークエンスにより塩基配列の決定を行った。GenBankに登録されている既知 2) のパレコウイルス1型〜6型と相同性を比較し、血清型/遺伝子型を決定した。
検出された患者情報は表のとおりで、7月30日現在で、3病院14人からパレコウイルス3型が検出された。年齢はすべて0歳児であった。主症状は発熱(38.0℃〜40.0℃)で、上気道炎、気管支炎、胃腸炎症状、髄膜炎、熱性痙攣を呈している患者もいた。ウイルスは咽頭ぬぐい液、鼻汁、髄液、糞便から検出された。
今後も引き続き動向に注意する必要があると思われる。
文 献
1) Caroline E Corless, et al ., Development and Evalution of a‘Real-Time’RT-PCR for the Detection of Enterovirus and Parechovirus RNA in CSF and Throat Swab Samples, J Med Virol 67: 555-562, 2002
2) 伊藤 雅, 他, Human parechovirusの検出ならびに同定方法の検討, 愛知県衛生研究所年報 58: 1-8, 2008
広島市衛生研究所
山本美和子 阿部勝彦 国寄勝也 国井悦子 伊藤文明 笠間良雄