<速報> 新潟県内の2007/08シーズン初のノロウイルスによる胃腸炎の集団発生

新潟県十日町保健所管内で続発した、新潟県内で今シーズン初のノロウイルス感染症の集団発生事例について報告する。

事例1:園児68人、職員14人のA保育園で、10月11日に1歳児が園内で嘔吐し、これを初発として19日までに園児11人が発症した。症状は嘔吐が主体であった。19日〜22日に採取した8人中7人の便からノロウイルスが検出された。

事例2:園児177人、職員35人のB保育園で、10月12日に0歳児が園内で嘔吐し、これを初発として10月25日までに園児13人、職員1人が発症した。症状は嘔吐、下痢であった。23日〜25日までに採取した9人中6人の便からノロウイルスが検出された。

事例3:特別養護老人ホームにおける事例で、10月21日が初発で、初発患者はショートステイ利用者と職員であった。10月25日までに、入所者59人中10人、職員59人中6人が発症した。23日〜25日までに採取した9人中8人の便からノロウイルスが検出された。

これらの事例について、遺伝子解析を行った。3事例のCOG2F/G2-SKR増幅領域の塩基配列は一致し、GII/4型で、同部位による系統樹解析では、昨シーズン流行株と同じクラスターに含まれた。また、構造蛋白の最外殻を構成する、ORF2のP2ドメインを含む600bpの遺伝子塩基配列も、3事例とも一致した。同塩基配列による系統樹解析では、昨シーズン流行株と同じクラスターに属した(図1)。塩基配列によるBLAST検索では、EF126965 Norovirus Hu/GII.4/DenHaag89/2006/NLに最も近縁で、99%(595/600)の相同性があった。

事例2および3の施設は1km以内にあるが、事例1と2の施設間の距離は約14kmである。十日町保健所管内の、感染症サーベイランスにおける定点当たりの感染性胃腸炎患者数は、第41週は2.0であったが、第42週に県平均の1.88を大きく上回る9.0となり、第43週も引き続き9.0となった(図2)。昨シーズン流行株に近縁なノロウイルスによる胃腸炎の地域流行が起こっていると考えられた。

新潟県保健環境科学研究所ウイルス科
田村 務 広川智香 渡邉香奈子 昆 美也子 西川 眞
新潟県十日町保健所
地域保健課 地域福祉課 衛生環境課


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