EV71が分離された検体は、2006(平成18)年3月7日に採取された2歳男児の糞便と、3月14日に採取された1歳および3歳女児の咽頭ぬぐい液の3件で、いずれの患者も水疱・丘疹等の発疹を主症状としていた。ウイルスの分離にはHEp-2、RD-18S、Vero、CaCo-2細胞を用いた。その結果、糞便はRD-18Sに、ぬぐい液はCaCo-2にそれぞれ感受性を示し、他の細胞でのCPEは観察されなかった。分離ウイルスの同定は、培養上清を用いてエンテロウイルス遺伝子のVP4領域増幅を目的としたRT-PCR法にて行い、3症例ともに増幅産物を確認した。直接シークエンス法で増幅産物の塩基配列を決定後、NCBIのBLASTで遺伝子の相同性の検索を行った結果、EV71と同定された。
EV71は、重篤な中枢神経疾患の原因となる場合があり、死亡例も報告されている。このことから手足口病とEV71のサーベイランスは非常に重要であり、今後県内での流行には十分警戒を要する。本県の感染症発生動向調査では、手足口病患者からEV71が分離されたことを直ちに週報に記載し、広く医療機関へ情報を提供し、注意を喚起した。
宮城県保健環境センター微生物部
佐藤千鶴子 庄司美加 植木 洋 佐藤由紀 沖村容子 齋藤紀行
宮城県仙南・仙塩広域水道事務所 菊地奈穂子
八木小児科医院 八木恒夫
沼倉小児科 沼倉碩彦