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Vol.17 (1996/2[192])

<外国情報>
創傷ボツリヌス,1995−米国・カリフォルニア


1995年1〜12月に計19事例の創傷ボツリヌスが報告された(うち13事例は8月以降)。1990年以来,カリフォルニアでは創傷ボツリヌスが確実に増加している(1990年1例,1991年2例,1992年3例,1993年4例,1994年11例)。1事例を除き全例がヘロイン等の薬物注射常用者であった。

 事例1(44歳男性,ヘロイン常用者):9月23日,右腕が化膿し,抗生物質で処置,10月1日言語障害のため地方緊急施設で検査を受けた。3日に言語障害,視力障害,首と腕の脱力感,息切れに続く嚥下困難のため入院,眼筋麻痺・下痢,顔面・胸鎖乳突・三角筋の衰弱が著明であった。4日には人工呼吸装置が付けられた。5日創傷ボツリヌスが疑われ,抗ボツリヌス毒素を投与,ペニシリン(1,200万単位/日)療法も開始され,11月21日退院した。10月4日に採取した患者血清を用いたマウス・バイオアッセイでA型ボツリヌス毒素が証明された。膿瘍からボツリヌス菌は培養されなかった。

 事例2(30歳妊婦,最終のヘロイン接種は9月24日):9月25日,咽喉痛と眼臉を異常に重く感じて緊急施設を受診,上気道感染と診断され帰宅した。27日に嚥下困難,言語障害で入院したが,12時間以内に眼筋,腕と脚の麻痺がみられ,人工呼吸装置を必要とした。9月29日左脚の複数の膿瘍を広範囲に切除,ボツリヌスが疑われ,抗ボツリヌス毒素および高単位のペニシリンが投与された。患者組織および血清のマウス・バイオアッセイでA型ボツリヌス毒素が検出され,創傷材料からボツリヌスA型菌が分離された。11月11日,34週齢で帝王切開により出産し,11月12日退院した。赤ん坊は12月7日現在集中治療室に入っている。

(CDC,MMWR,44,No.48,889,1995)






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