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Vol.16 (1995/12[190])

<特集>
インフルエンザ 1994/95シーズン


Vol.16 No.12(No.190)1995年12月発行



 1994/95シーズンのインフルエンザ流行は患者数が大きく増加し,分離されたウイルスは主にA香港(H3N2)型とB型で,両者の報告数の比は約2対1であった。さらにAソ連(H1N1)型も少数分離され,1990/91シーズン以来4シーズンぶりに3つの型の混合流行となった。

 感染症サーベイランスの定点医療機関(小児科・内科)から報告された1994/95シーズンのインフルエンザ様疾患患者数(図1)は,1987年の集計開始以来最高で,一定点当たり287.9人(1994年第35週〜1995年第34週までの累計)であった。患者報告数の推移をみると,1994年第51週から急増し,1995年第4週にピークとなり,第8週まで減少したが,第9週に再びわずかに増加した後減少した(図1)。

 病原微生物検出情報に報告された1994/95シーズンのインフルエンザウイルス分離数は5,747で,過去最高であった (本月報Vol.14,No.12Vol.15,No.12参照)。 特にA香港型の報告数が前シーズンまでと比べて3,743と大きく増加した。B型は1,890,Aソ連型は114の分離報告があった(表1)。

 A香港型の分離は1994年12月から増加し始め,1995年1月にピークとなった。B型はこれより遅れて1995年1月から増加し,3月にピークとなった(図2)。A香港型は55機関,B型は52機関と,ともに全国各地で分離された。一方Aソ連型は1994年6月に2シーズンぶりに分離され,その動向が注目されていたが (本月報Vol.15,No.9Vol.16,No.1参照), 1994/95シーズンに入ってからは14機関で分離されたのみで,大きな流行にはならなかった。

 1994/95シーズンのインフルエンザウイルス分離例の臨床症状は,発熱,上気道炎,胃腸炎,下気道炎,肺炎,関節・筋肉痛,角・結膜炎が例年同様報告された。これに対し,脳炎などの中枢神経系疾患,循環器障害が15例報告され,過去12シーズンに比べ多かった(表2) (本月報Vol.16,No.5参照)。 また,香川衛研から本情報初の髄液からのインフルエンザウイルス(A香港型)分離が報告された (本月報Vol.16,No.5参照)

 インフルエンザウイルス分離例の年齢分布を図3に示した。A香港型は6シーズン,B型は3シーズン連続して流行しているが,分離例の年齢分布は毎シーズン変化している。1994/95シーズンは前シーズンに比べA香港型,B型分離例ともに年長児の割合が増加した。

 予研ウイルス第一部で行われた抗原分析によると,各機関で分離されたウイルスの大部分は1994/95シーズン用ワクチン株と類似していた (本号3ページ参照)。 1995/96シーズン用のワクチン株には,前シーズンに引き続きA型はA/山形/32/89(H1N1)とA/北九州/159/93(H3N2),B型はB/三重/1/93が使用されているが,A香港型の抗原量が350→400CCA/mlに変更された (本月報Vol.16,No.8参照)

 1995/96シーズン速報:「インフルエンザ様疾患発生報告」(厚生省エイズ結核感染症課)は,学校等における集団発生の患者数を集計している。11月25日現在(第4報),10月下旬に青森,北海道,11月上旬に大阪,兵庫,11月中旬に和歌山,鳥取,神戸,11月下旬に京都から集団発生による学年・学級閉鎖が報告されている。

 感染症サーベイランスによる定点当たり患者報告数は第47週現在(11月19〜25日)0.66人で,昨年同期(0.12人)より早く増加しており,特に神戸市(10.03人)と茨城県(6.22人)で患者報告が多い。しかし,病原微生物検出情報へのウイルス分離報告はまだない(12月5日現在)。



図1. インフルエンザ様疾患患者報告数の推移,1987〜1995年(感染症サーベイランス情報)
表1. インフルエンザウイルス分離報告数,1982/83シーズン〜1994/95シーズン
図2. 月別インフルエンザウイルス分離報告数の推移,1994/1995シーズン
表2. 脳炎,脳症,循環器障害などが報告されたインフルエンザウイルス分離例
1982/83シーズン〜1994/95シーズン

図3. インフルエンザウイルス分離例の年齢





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