HOME 目次 記事一覧 索引 操作方法 上へ 前へ 次へ

Vol.16 (1995/6[184])

<外国情報>
ダニ媒介性脳炎−ラトビア,スウェーデン


 ダニ媒介性脳炎(TBE)は,フラビウイルス科のウイルスにより引き起こされ,種々の株が存在するが,ロシアの極東部におけるものが最も症状が激しい。ウイルスは自然界ではダニ,小動物,家畜,あるいは,ある種の鳥の間で保有されているが,ヒトには主に感染ダニによる咬傷から感染する。

 ラトビア:TBE罹患率が最近顕著に増加してきた(1993年771例,10万人対29.0,1994年1,366例,10万人対52.4)。流行期は4〜11月と長い。多くの例は重篤で致命率も高い。しかし,小児の場合,おそらくダニに咬まれた後免疫グロブリンが投与されるため,成人より罹患率は低い。ラトビアでは近隣諸国よりTBEの発生頻度が高い。

 スウェーデン:1994年に116例のTBEが報告されたが,これは1991〜93年における51〜83例より増加している。平均年齢は41.5歳(7〜75歳),79例(68%)は男性。大多数は7〜8月に感染し,発症数週間前にダニに咬まれている。TBEはスウェーデン南部に地域流行的にあり,特に東海岸,ストックホルム群島,メーラレン湖,バルト海のゴットランドに多い。致命率は1%前後,成人の10〜15%は急性期に不全麻痺を生じる。回復には長期間を要し,中には慢性脳炎後症候群を生ずる者もいる。流行地の住居者および訪問者はワクチン接種が勧められる。

(WHO,WER,70,No. 17,120,1995)






前へ 次へ
copyright
IASR