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Vol.16 (1995/1[179])

<国内情報>
1994年10月以降のインフルエンザAH1型ウイルス分離−大阪府


 本月報9月号に1994年6月,1991/92シーズン来久々に2株のインフルエンザAH1型ウイルスが分離され,その抗原性は1980年前後のインフルエンザAH1型抗血清と比較的よく反応することを報告した。引き続き夏型カゼ様疾患患者の検体について分離を試みたが,いずれも陰性であった。

 その後10月に入り,サーベイランス検査定点よりカゼ様疾患の散発例として送付された検体中3検体からインフルエンザAH1型ウイルスが分離された:10月5日(4歳),6日(12歳),13日(6歳)採取検体。さらに10月下旬には送付される検体数も週5〜10件となり,10月31日(6歳),11月4日採取された検体からも同型のウイルスが分離された。5例は4定点で検体採取されたものであり,患者の居住地域および定点は府下全域にわたっている。分離されたインフルエンザAH1型ウイルス5株の抗原性は6月に分離された2株と類似しており,A/山形/32/89(H1N1)株抗血清とほとんど反応を示さない。臨床症状は高熱,上気道炎であり,一部胃腸炎を伴った例もあった。12月に入り,府下北部で「集団カゼ」として学級閉鎖された施設があったが,主症状は胃腸炎であり,現在ウイルス分離を試みているが,インフルエンザウイルスは分離されていない。



大阪府立公衆衛生研究所ウイルス課
前田章子 加瀬哲男 奥野良信





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