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Vol.15 (1994/3[169])

<外国情報>
WHO西太平洋地区(WPRO)のAIDSサーベイランス


 HIVサーベイランスは,短期間に同一対象群に定期的に行われた場合に,意味のある情報を与えるものである。その方法として推奨されるのは,他の目的のために無作為匿名検査で集めた血清を,個人を特定する情報をすべて取り除いた上でHIV検査に利用する方法である。

 WPROのHIVサーベイランス報告は,統一されていない,時には不明瞭な調査方法によって得られているので,解釈に注意を要する。

 STD患者のうちHIV感染者の割合は,報告のあった5ヵ国(オーストラリア,カンボジア,香港,パプアニューギニア,フィリピン)はカンボジア(4.2%)を除き,依然として低いレベルにある(1%以下)。WPROにおける性風俗営業に従事する人々のHIV感染率は他の地域ほど高くない。最も高い地域はカンボジアのある地域(13%)である。マレーシアでは1988年に0%だったが,1991年には1.3%に増加し,また,薬物使用者の間でも増加している(1989年0.14%→1991年6.9%)。フィリピンの性風俗営業従事者では1〜2.5%の間である。ベトナムや韓国ではその頻度は非常に低く,オーストラリア,香港,シンガポールでは感染者はみられない。ベトナムでは1993年初期の数ヵ月の調査で,1,061人の薬物使用者のうち92人がHIV感染者であった。オーストラリアはこの地域では最もHIV感染率が高いが,薬物使用者間の感染率はこの8年間ほとんど一定である(5%以下)。同性愛者における感染率は比較的高く,オーストラリアのシドニーでは30%であるが,シンガポールや日本,フィリピンでの調査では比較的低い。

(WHO,WER,68,50,371,1993)






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