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Vol.15 (1994/2[168])

<国内情報>
1993/94インフルエンザウイルス分離−大阪府


 暖冬のためか,インフルエンザ様疾患患者の発生も少ない本シーズン,3ヵ所のサーベイランス定点において,12月15日,16日に検体採取された咽頭うがい液,咽頭ぬぐい液から,インフルエンザAH3型3株を分離した。ウイルス分離患者は4,5,7歳児,いずれも2,3病日で検体採取,臨床症状は発熱(受診時38.5〜40.0℃)と上気道炎であった。分離系として,MDCK細胞を用いた。分離株の同定は,本シーズン,日本インフルエンザセンターから標準抗血清として分与された,A/北九州/159/93(H32)とはほとんど反応せず,予研呼吸器系ウイルス研究室による同定試験(表)でも,前シーズンのA/ブラジル/2/91(H32)ないしはA/滋賀/2/91(H32)に類似した株と考えられ,昨シーズンの流行株に近い抗原性を持つウイルスが,なおも潜在しているようであり,同定に際し考慮の必要がある。なお,これらは散発例として確認され,その後,年明けまでには流行は認めていない(1994年1月21日)。



大阪府立公衆衛生研究所 前田 章子,加藤 哲男,奥野 良信


 1993/94シーズンA/香港型分離株の同定試験(予研ウイルス第一部呼吸器系ウイルス室)





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