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Vol.14 (1993/12[166])

<外国情報>
1993年の米国のインフルエンザ


 1993年8月,ルイジアナ州で3件のインフルエンザA型の集団発生があった。2件は養老院の居住者およびスタッフ,1件は川に停泊している浚渫船の労働者で,いずれも施設のほぼ半数,数十名単位の者が発症した。ウイルスの分離,血清抗体検査でインフルエンザA型感染が確認され,A/北京/32/92(H32)類似株であった。

 米国では,1992/93年シーズン遅くからA/北京/32/92(H32)型が流行し,夏には珍しくルイジアナ州で集団発生を起こした。このような場合,93/94年シーズンの主流はH32と考えられ,また他の地域でも早くから流行が始まると予想される。従って,今シーズンはワクチン接種を例年より早く10月末までに終えるよう勧告する。93/94年シーズンのワクチン株は,A/テキサス/36/91(H11)類似株,A/北京/32/92(H32)類似株,およびB/パナマ/45/90類似株である。3月以降の分離株はこれらに類似している。

 接種対象は,1)65歳以上の人,2)養老院や他の長期療養施設の居住者,3)喘息の子供を含む慢性の心臓血管系や肺の障害を持つ人,4)慢性の代謝疾患,腎不全,血色素障害,免疫不全等のため,昨年入院や継続医療を受けた人,5)アスピリンを長期服用しており,インフルエンザに感染するとライ症候群を起こす危険性の高い10代までの子供である。さらにこれらのハイリスク者と接触する医療従事者,家族等も対象となる。

 抗ウイルス剤による治療も有用である。9月にFDAから認可された塩酸リマンタジン,および塩酸アマンタジンがA型に効果があり,以下のような状況で用いられる。1)施設内での集団発生時の予防・治療として,2)流行が始まってからワクチンを受けたハイリスク者に,免疫が誘導されるまでの2週間の予防として,3)ワクチン接種が禁忌または免疫抑制状態の患者に,流行のピーク時の予防として,4)ハイリスク者に接する医療従事者,家族等に,流行のピーク時またはワクチン接種後免疫が誘導されるまでの期間の予防として。アマンタジンもリマンタジンもA型にしか効かないので,迅速なウイルスの型の同定が重要である。

(CDC,MMWR,42,No.36,689&No.38,752,1993)






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