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Vol.14 (1993/11[165])

<国内情報>
京都市におけるエコーウイルス9型の検出状況


 1993年7月以降,京都市においてエコーウイルス9型(E9)の検出例が続いているので報告する。

 感染症サーベイランスの2定点から寄せられた7〜9月の無菌性髄膜炎,夏かぜ様疾患,感染性胃腸炎患者等の糞便,咽頭ぬぐい液,髄液等の検体を,FL,RD−18S,Vero,WI−38の培養細胞,および哺乳マウスに接種し,ウイルス検出を試みた。

 このうちRD−18Sで,初代接種後2,3日目から顕著なCPEを示したものについて,さらに1代継代後,国立予研分与のエンテロウイルスプール抗血清により中和を行い,エコーウイルスの同定を行った。

 その結果,7月18日の無菌性髄膜炎患者髄液から初めて検出されたE9は,およそ2カ月後の9月13日まで断続的に,髄液および咽頭ぬぐい液から各3株,糞便から2株の計8株検出された。同様なウイルス株の検出はそれ以降も続いており,現在同定作業を進めている。

 E9を検出した患者の臨床診断名は無菌性髄膜炎が4人,夏かぜ様疾患が3人,感染性胃腸炎が1人であった。共通して発熱があったほか,髄膜炎,上気道炎も数人でみられ,発疹のみられた患者もあった。発熱は39〜40℃と高い。

 なお,8月の3歳女児1人は,E9(RD−18Sで検出)とコクサッキーA2型(哺乳マウスで検出,CFで同定)との重複感染であった。また,9月に入ってエコー11型も1例検出されたが,同時に中和を実施したE9とは明瞭に判別できた。

 病原微生物検出情報によれば,最近のE9の全国的流行は1990年をピークとして以後2年続いたが,本市では1990年の5件の検出が目立つ程度であった。

 本年,近畿各地ではエコーウイルスとしては11型の検出例が目立ち,E9は本市でのみ検出されている状況である。今後引き続き,この型の動向に注目していきたいと考えている。



京都市衛生公害研究所微生物部門





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