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Vol.14 (1993/10[164])

<外国情報>
E.coli O157の感染−英国


 英国におけるVero毒素産生性E.coli O157の発生は,1982年に本菌が初めて確認されて以来増加の一途をたどっている。PHLS中央公衆衛生研究所での確認によると,1992年は集団発生例を含めて473株が分離された。1993年は6月までに133株が分離され,17例がE.coli O157のLPSに対して血清抗体陽性を示した。分離株のファージ型(PT)は12に分かれ,PT2(41%),PT49(21%)の検出頻度が高かった。また,PT28が初めて検出された。1993年前半に英国各地で発生した集団事例として,5名の患者および牛と生乳からE.coli O157 PT2が検出された事例(シェフィールド),4名の患者からE.coli O157 PT49が検出された事例(ヘレフォード),5名の子供のうち3名がHUSを併発した事例(南西テムズ)が報告された。また,東カンブリアで,6〜7月にかけて4名のHUS(E.coli O157 PT2),3名の血便患者(E.coli O157 PT8),1名の保菌者(E.coli O157 PT32)が発生した。さらに5月以降,13例のE.coli O157 PT28の感染が広域から報告された。うち9例はスコットランドで検出されたが,患者間の感染源に共通性は見出されていない。

 中央研究所は,各検査機関に対して,血性下痢あるいはHUS患者ではE.coli O157の検査を勧めている。検出されなかった場合は,中央研究所に材料を送付すれば,便からのVero毒素産生遺伝子の検出,あるいは血清抗体価の測定に応ずるとしている。

(CDSC,CDR,3,No.34,155,1993)






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