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Vol.14 (1993/8[162])

<外国情報>
米国南西部で発生したハンタウイルス感染症


 1993年6月21日までに12例のハンタウイルス感染例を確認した。死亡率は75%である。患者の発生は現在のところ,ニューメキシコ(9例),アリゾナ(2例),コロラド(1例)に限られている。類似の疾患がさらに20例報告されており(うち8例は死亡),現在ハンタウイルスを検索中である。12例の診断は,抗体測定(8例),免疫組織化学的手法(5例),PCR(3例)によった。

 6月6日から12種類191匹の動物を調べたところ,シカネズミ(P.maniculatus)の30%,マツネズミ(P.truei)の9%,シマリス(Entamias dorsalis)の2%にハンタウイルスに対する抗体が検出された。さらに抗体陽性のシカネズミの75%からPCRで同ウイルスが検出された。ヒトの3例,シカネズミの6例から取られたウイルスのシークエンスは強い類似性を示した。

 以上より,本疾患は,シカネズミからヒトへの未知のハンタウイルスの伝播によって起こった可能性が強い。シカネズミは東南部を除いて全米に生息しており,1985年にカリフォルニア,コロラド,ニューメキシコで捕られたシカネズミは5%がハンタウイルス抗体陽性であった。感染源はその排泄物,唾液等と考えられ,これまでヒトからヒトへの感染は起こっていない。

(CDC,MMWR,42,No.24,477,1993)






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