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Vol.14 (1993/7[161])

<外国情報>
リステリア症の集団発生,1992−フランス


 1992年3月以来691事例のリステリア症が確認され,うち278(40%)はListeria monocytogenes(血清型4b)に起因していた。この血清型は過去5年間では2〜9%であった。278事例中91(33%)は妊婦または新生児であった。その他の187事例(182成人,5子供)のうち,61%は免疫不全患者であった。81の死亡例が認められ,21は胎児,7は新生児,53は成人であった。278事例はフランスの都市96中79,および海外3つの地区や領土にまで広がった。これは1960年以来2番目に大きなリステリア症の流行例である。本流行の菌株は,米国カリフォルニア(1985年),スイス(1983〜87年)およびデンマーク(1985〜87年)の流行菌株と同一の血清型および同一のファージ型を示したが,DNA制限酵素切断パターンではやや異なった。

 広範な疫学調査の結果,肉製品(特に冷肉)が原因として推定されたが,特定の製品の調査は現在も進行中である。

 本流行の当初,フランス保健省は,リステリア症の防止対策としてハイリスク者(妊婦,免疫不全者および高齢者)に対して,生乳,未殺菌乳製品およびパテ,ハムなどの食品の摂食の禁止,食べ残し食品の摂食前の十分な再加熱,すべての生野菜および調理用ハーブの徹底的洗浄に注意を向けさせた。さらに食品の安全に対して,未加熱肉は野菜,調理食品または摂食用に準備された食品と区別して保管し,未加熱食品を取り扱った後の手指,ナイフおよびまな板の洗浄等の基礎的勧告を行った。

 WER編集者註:同一の流行株に起因した合計279事例が1992年3月18日から12月23日の間に記載されたが,それ以降の発生は認められていない。63人の死者と22人の流産例が報告された。本流行の原因はタンのゼリー寄せの摂食によっていた。

(WHO,WER,68,No.13,89,1993)






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