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Vol.14 (1993/7[161])

<国内情報>
尼崎市における集団赤痢の発生2事例について(概要報告)


 ここ数年,インフルエンザ流行期におけるS.sonneiによる集団発生の事例が全国の各地研から報告されているが,尼崎市においてもこれらの報告と同じような事例が相次いで2件あった。

 事例1:1993年2月4日,市内の西部地域に位置する武庫保健所にM小学校1年3組の児童1名が真性赤痢との届け出がA医院からあった。5日から患者家族3名と1年3組の児童35名の検便と実施したところ,児童13名からS.sonneiが分離された。防疫対策本部が設置され,M小学校全員(児童数868名,教師数35名,給食関係者5名)と患者家族を対象にした検便と,給食の検食・水道水・給食施設等のフキトリの検査を実施した。2月17日までに真性赤痢患者として17名が隔離された。その内訳は,児童16名(1年3組13名,4年生1名,5年生2名)と中学生1名であったが,5年生の1名以外は1年3組の児童の兄姉であった。4月15日現在まで退院者,再検者を含む関係者1,299件の検便を行ったが,2月17日以降は菌陽性者をみていない。給食食品,水道水,フキトリの計28検体はすべてS.sonnei陰性であった。

 事例2:1993年2月19日,市内の東部地域に位置する東保健所にK保育所(0歳児から5歳児30名)の園児2名が真性赤痢との届け出がB医院からあった。20日から園児28名,関係職員26名,患者家族その他の接触者の検便を実施したところ,3月1日までに11名からS.sonneiが検出された。その内訳は,園児5名,職員(主任保母)1名,家族関係者5名であった。4月20日現在まで退院者,再検者を含む420件の検便を行ったが,3月1日以降は菌陽性者をみていない。給食食品,水道水,フキトリの計66検体はすべてS.sonnei陰性であった。

 4月20日に終息宣言が出されたが,両保健所の疫学調査の結果,2事例とも患者はほとんどが38℃以上の発熱と下痢を主症状とした風邪症状で,医療機関ではインフルエンザと診断されていた。事例1では最初に受診したM小学校の1名が血便であったため,A医師が検査センターに細菌検査を依頼し,S.sonneiが検出されたことが集団発生の発見につながった。また,事例2ではB医師が事例1のM小学校の情報のもとに検査センターに細菌検査を依頼し,同様にS.sonneiが検出され集団発生の発見につながった。2事例とも患者およびその家族に海外渡航歴がなく,感染経路,関連性は不明であるが,分離菌の生化学的性状およびプラスミドプロファイルによる解析(神戸市環境保健研究所に依頼)は同一であった。

 また,薬剤感受性試験では分離した31株すべてPCG,TCに耐性で,ABPC,CEC,KM,GM,CP,OFLXには感受性であった。



尼崎市立衛生研究所
小寺 寿昭,折田 勲,平山 照雄,小泉 直哉,野村 泉,河地 一成





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