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Vol.14 (1993/6[160])

<外国情報>
デング熱/デング出血熱(DF/DHF)サーベイランス,1992−シンガポール


 DF/DHFが1992年は2,878例報告された(1991年2,179例,1987〜1991年5年間の平均は944例)。うち137例(4.8%)は輸入例であった。患者の年齢は全年齢にわたっているが,15〜24歳の罹患率が最も高い。性比は1.3。マレー系に比べ中国系は3.0倍,インド系は1.7倍罹患率が高かった。

 全症例中93%が入院し,うち約95%がEIAによるデング特異的IgM抗体,デングブロットテストによるデング特異的IgG抗体のいずれか,あるいは両方によって血清学的に確定診断された。ウイルス分離を実施した130例中20例から3型,2例から2型,1例から1型ウイルスが分離された。4例(男2,女2,13〜48歳)が死亡した。

 蚊家屋指数(蚊発生家屋%)が年間を通じて調査されたが,患者発生数との間に有意な相関はなかった。769,455家屋中0.5%にAedes aegypti(ネッタイシマカ),0.6%にAedes albopictus(ヒトスジシマカ)が見出された。

 1990/91年の血清学的調査では,デングウイルスの4つの型のうち1つ以上の型に抗体陽性だったのは全年齢で44〜48%と低く,比較的蚊の密度が低い状況でも流行が起こりうることが示唆されている。1992年11月以降患者発生は低下しているが,蚊家屋指数は変化していない。1991年は2型が主であったのに対し,1992年は3型が主となったが,この変化が流行の程度にどう影響しているかは不明である。疑似例,確認例をできる限りすみやかに届出すること(まず電話で患者の住所を通報し,後に書面で届ける)が望まれる。

(Shingapore ENB,19,No.3,13,1993)






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