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Vol.14 (1993/4[158])

<外国情報>
A型肝炎ウイルスの疫学−シンガポール


 1985年〜1991年における急性肝炎の28%から60.8%がA型肝炎ウイルス(HAV)によるものであった。年間発症数の平均は255例,うち4名死亡(死亡率は0.2%)。38.6%が主に東南アジアおよびインドから輸入されたものである。シンガポールにおけるHAVの血清疫学的所見は先進国のそれに近い。過去20年間において,HAVの伝播が急速に低下している。1984〜85年におけるHAVに対するIgG抗体陽性者は31.8%であったが,1991年には21.4%に低下している。散発的なHAVの流行は中国系の人が好む貝類(カキ,トリガイ)を生で食することと関係がある。東南アジアから輸入されたカキが汚染されていて1980年に312例の発生がみられた。魚介類は海水の汚染がわずかであっても,これを濃縮する作用があるため流行が起こりやすい。カキなどの調理の温度は,これを殺菌するのに十分ではない。

(Shingapore ENB,18,No.11,63,1992)






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