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Vol.13 (1992/9[151])

<外国情報>
新生児のB型肝炎ワクチン対策−トンガ


 トンガは150島(うち37に人が住む)から成り,1986年の人口は94,648。HBsAg陽性率は15%,0〜4歳では20%,5歳以下の50%がHB抗体または抗原陽性である。HBsAg(+)妊婦の41%がHBeAg(+)なので子供の感染の多くが母子感染とみられる。1987年に新生児HB免疫計画がWHOと北里研究所(北研)の協力のもとに開始された。HBワクチンのコストを下げるために住民から抗HB高力価プラズマを年あたり約10l(1万dose分)収集し,これを用いて北研でワクチンが作製された。1dose(10μg HBsAg)は輸送費を含め0.40USドルと計算された。ワクチン投与は,第1回はBCG(生後48時間以内),第2回は2期DPT(生後10〜12週),第3回は3期DPT(生後4〜5月)と同時に投与された。HB免疫グロブリンは使用しなかった。1990年中に約2,600児が投与され(投与率96%以上),副反応はなかった。3回投与後約12月後の検査でHBeAg(+)母の出生児中HBsAg(+)は6/25,抗HBs(+)16/25。HBeAg(−)母の出生児はそれぞれ0/32と26/32。HBeAg(+)母の出生児のHBsAg(+)陽転化(従来は90%)に対する防止効果は73.3%だった。

(WHO,WER,67,28,208,1992)






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