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Vol.13 (1992/7[149])

<国内情報>
インフルエンザウイルスB型の分離について―北九州市


 平成3年度冬期の北九州市におけるインフルエンザの流行は,A香港型とAソ連型ウイルスの混合流行であった。ところが3月中旬,患者発生がいったん終息に向かった後,戸畑区の定点において,4月8日採取のかぜ様患者(2歳)の咽頭拭い液から,今シーズン初めて,インフルエンザウイルスB型が分離され,9月にも2名(44歳と11歳の親子)から分離された。まもなく,4月中旬,若松区の小学校で,集団かぜの流行のために,入学早々の1年生が学年閉鎖(在籍者114名,患者44名,欠席者29名)となり,さらに5月中旬,今度は小倉南区の小学校1年生に,同じく集団かぜによる学級閉鎖(在籍者39名,患者18名,欠席者17名)があった。当所での検査の結果,4月17日および5月20日採取の両校の患者10名中7名のうがい液から,インフルエンザB型を分離し,同ウイルスの流行を確認した。当市におけるB型ウイルスの分離は,1990〜1991年冬期の流行以来のことである。

 図に昨年12月から今年6月中旬までの,当市におけるインフルエンザウイルスの検出状況およびサーベイランスにおける北九州ブロックのインフルエンザ様疾患の発生状況を示す。4月以降,定点におけるかぜ様患者47名から,27株のB型ウイルスを分離している。夏かぜを考慮し,他のウイルスも検索しているが,現時点ではインフルエンザウイルスB型しか分離されていない。

 なお,分離株は日本インフルエンザセンターから供与された標準抗血清B/バンコク/163/90に対して1:1024前後,B/パナマ/45/90に対して1:256前後のHI価を示すものがほとんどであるが,詳しい抗原分析は同センターに依頼中である。



北九州市環境衛生研究所 下原 悦子,仮屋園 弘志,杉嶋 伸禄


図 インフルエンザウイルスの検出状況と患者発生状況





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