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Vol.13 (1992/5[147])

<国内情報>
千葉県での咽頭結膜熱(PCF)の集団発生


 千葉県館山保健所管内で,1991年6月〜7月中旬にかけて,プール遊泳に起因すると思われるPCF(Pharyngo-conjunctival fever)の集団発生がみられ,ウイルス学的検索からアデノ3型による感染を確認した。

 ウイルス分離は,HeLa細胞を使用した。同定は,20単位アデノ家兎免疫血清を用いてマイクロプレートで行った。中和抗体の測定は,100TCID50の分離ウイルスを用いて,マイクロプレート法で行った。

 館山市内のF小学校では,6月12日から児童の発病が認められ,28日にピークとなり,終息までの経過は長く,7月10日頃まで続いた。三芳村のM小学校では,6月25日頃から発病を認め,7月8日にピーク,7月15日頃に終息に至った。両校ともにプール使用を禁止してから発生のピークを迎えている。

 ウイルス分離成績を表1,2に示した。分離ウイルスはすべてアデノ3型であった。M小学校の17ペア血清の分離株に対する中和抗体価を測定した。その結果,急性期血清17名中14名は抗体価8倍以下であった。この14名中13名の回復期血清は64〜256倍以上の上昇を示したが,残りの1名は8倍以下であった。なお,この14名中11名からはウイルスが分離された。急性期血清が抗体陽性(32〜64倍)の3名は,回復期血清においても上昇は認められず,ウイルス分離も陰性であった。また,中和抗体価と同様に17名中14名に,アデノ3型に対するCF抗体価の上昇を認めた。

 分離ウイルスのDNA切断解析を行ったところ,Bam HIによる泳動パターンがプロトタイプと異なっていたが,Hin dVでは同じであった。



千葉県衛生研究所 山中 隆也,春日 邦子,小川 知子,時枝 正吉,市村 博
館山保健所 木内 良春,碧井 猛


表1.ウイルス分離成績
表2.ウイルス分離成績 同一個体で2検体を採取した検体ごとのウイルス分離率





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