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Vol.13 (1992/5[147])

<国内情報>
冬期を中心としたEcho6の分離−島根県


 一般にエンテロウイルスは夏に流行するが,秋以降に分離されたウイルスが次のシーズンに流行することがしばしばある。本県では,1991年12月,1992年1月に計33株のEcho(E)6を分離したのでその概要を紹介する。

 今シーズンのE6の最初の分離は1991年4月に咽頭結膜熱(PCF)患者からであった。その後は表に示すように県東部で8月から11月の間に12株と散発的に分離された。12月になって県東部で8株,県西部で1株と分離数が増すとともに西部地区でも分離されるようになり,翌1月には24株が分離された。本県では7月から10月の間,E30が全県的に流行しており,それと入れ替わるようにE6の分離数が増加した。2月以降,Echo様のCPEを示すウイルスが2株分離されており,現在同定中である。

 E6が分離された患者の臨床診断名は咽頭炎25例,インフルエンザ10例,胃腸炎3例,無菌性髄膜炎,PCF各2例,結膜炎,ヘルパンギーナ各1例と多彩であったが,12月,1月は咽頭炎とインフルエンザのみからの分離であった。分離材料は咽頭拭い液から41株,髄液から2株,便,尿,眼脂から各1株であった。

 分離にはRD,FL,AG−1(当所樹立ミドリサル腎臓細胞)を用いたが,感受性はFL,RD,AG-1の順でよかった。同定にはシュミットプール血清(予研分与)および自家製免疫血清を使用した。

 今回はインフルエンザの流行初期と重なったため,インフルエンザ様疾患からも多数分離され,臨床的にインフルエンザに2回罹患した例の原因の1つになっているものと思われる。

 また,本県でのE6の過去の分離は1978年に1株,1979年に2株,1985年に16株,1987年に2株と散発例にすぎず,全国的にも1985年に西日本を中心に無菌性髄膜炎の流行を引き起こした後流行していないことから,今年の夏の流行が懸念される。



島根県衛生公害研究所 飯塚 節子,持田 恭,板垣 朝夫
館山保健所 木内 良春,碧井 猛


Echo6の月別分離数





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