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Vol.13 (1992/1[143])

<国内情報>
河川水からの腸管系ウイルスの分離状況−奈良県


 我々は1982年より水中における腸管系ウイルスの動態について調査を行っている。今回は1988〜1990年における河川水からのウイルス分離状況について報告する。検体は毎週1l採取し,濃縮を行って,RD-18S,HEp2,HeLa,VeroおよびMA104細胞に接種した。

 1988〜1990年のウイルス分離状況を表に示した。ポリオウイルスは1988〜1990年の間,ワクチン接種期(春,秋)に対応して分離された。コクサッキーB群ウイルスは,3年間で4種類(2,3,4,5)の血清型が分離され,その中でも長期間しかも連続的に分離されたのは,4型(1988年6〜8月,1989年6〜8月),3型(1990年9〜11月)と5型(1990年6〜9月)であった。

 エコーおよびアデノウイルスは分離株数は少なかったが,その中でエコーウイルス11型は,長期間(1989年8月〜1990年1月)分離された。レオウイルスは河川水から最も多く分離され,その中でも2型がほぼ一年中分離された。以上から河川水からの腸管系ウイルスの分離パターンを考えてみると,ポリオ,アデノおよびレオウイルスのように,毎年ほぼ同じ分離パターンを示すものと,コクサッキーB群およびエコーウイルスのように毎年(2年間分離される場合もある)分離パターンが異なるものに大別することができた。



奈良県衛生研究所


Isolation of enteric viruses from river water





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