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Vol.11 (1990/3[121])

<国内情報>
1989年の北海道におけるインフルエンザの流行


 1989年の1月と2月には前年に引き続きA(H1N1)型によるインフルエンザの流行があった。

 流行は一旦終息したが,4月から6月に札幌市では,学年閉鎖が1校,学級閉鎖が5校あり,計353名の患者が報告されている。なお,この期間に北海道以外にはインフルエンザ発生の報告はない(図1)。

 4月24日に札幌市において,流行予測の目的で採取された5歳の男児(インフルエンザワクチンの接種歴なし)の咽頭スワブから,MDCK細胞を用いて,A(H3N2)型を分離し,A/北海道/20/89(H3N2)と命名した。なお,この期間に,75件の咽頭スワブから9株のA(H3N2)型を分離した(表1)。

 10月から再びA(H3N2)型による流行が始まり,12月に入って患者数が急増した。図1に示すように,12月における全国の累積患者数90,434名に対して,北海道は78,868名であって,87,2%を占める。

 1990年1月に入ってから北海道の患者数の増加はないが,これは北海道における小中学校の長期の冬休みの影響と考えられる。

 予研において実施された北海道分離株と他のA(H3N2)型株との交差試験の結果を表2に示す。



図1.インフルエンザ様疾患患者(平成元年4月2日〜平成元年1月20日)
表1.1989年のインフルエンザウイルス分離状況 1989年1月〜1990年1月
表2.北海道分離株と他のA(H3N2)型株との交差試験


北海道立衛生研究所 桜田 教夫,野呂 新一





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