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Vol.11 (1990/1[119])

<外国情報>
エボラウイルス−WHO


 米国政府からWHOに入った情報によれば,マニラから10月4〜5日にバージニアに着いたカニクイサル100頭中11月初めまでに60頭が死亡し,血清,脾臓,肝臓からエボラウイルスが分離された。ヒト感染はない。全サルが11月半ばに殺処分されたので,ヒト感染の直接の危険性は回避されたとみられる(ヒト潜伏期は5〜7日)。エボラウイルスはアフリカ出血熱ウイルスで,ヒト致死率は60〜90%,今までアフリカ以外で検出されていない。同一ファミリーであるマールブルグウイルスが1967年ヨーロッパで,ウガンダから輸入されたミドリサルの血液や組織を扱った者に致死率25%の感染を起こした例がある。

 今回のサルはアムステルダムとニューヨークケネディ空港施設に1夜おかれた。

(WHO,WER,64,No.49,1989 CDC,MMWR,38,No.48,1989)

 第2のエボラ感染によるサル死亡例が同一供給ルートの次の輸送群で発生した。アムステルダム空港を11月7日(第1群の5週後)に通過したもので,米国到着時すでに感染していたか,到着後に前群から感染したか不明である。

 第1輸送群はアムステルダム空港の保管施設で西アフリカからメキシコへ輸送中のアフリカサル2頭と2時間接触した可能性がある。この2頭はメキシコにいるが健康で,血液サンプルを検査中。第2群は空港トランジット中,他のサルとの接触の事実はなかった。

 オランダ,WHO,CDCがアムステルダム空港のサル取扱いと輸送の調査チームを結成,空港関係者と9月14日〜11月28日にここを通過した15国30社のサルについて調査中。今まで今回のサル輸送に起因する疾病はみられていない。

(WHO,WER,64,No.50,1989)






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