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Vol.10 (1989/7[113])

<国内情報>
香川県におけるエコー30型による無菌性髄膜炎の流行


 県下の無菌性髄膜炎の流行は,1988年は特異的に,12月をピークとしたエコー18型による流行であった。本年は1983年,1986年に流行が確認されているエコー30型が2月に分離され,以降続いている。

 この流行では,一定点あたりの患者数でみると別表のとおりで,東香川,西香川によって差はあるものの,ピークとなった12月以降についてほぼ例年同様の推移をとり,まだ散発的であるが,以降のウイルス流行が推測されるところである。

 今回のエコー30型は,エコー18型の終息した1月,異型肺炎患者の咽頭ぬぐい液から初めて分離され,その後は無菌性髄膜炎から14株,呼吸器系疾患から6株,その他の疾患から3株で,現在までに23株が分離された。呼吸器系疾患からの分離も多いために分離材料の内訳は,咽頭ぬぐい液15株,髄液7株,糞便から1株であった。

 これらエコー30型の分離には,RD細胞,HEL細胞を併用しているが,各々でよく増殖した。RD細胞では2〜3日で典型的なCPEを生じ,HEL細胞ではほぼ1日遅れて観察され,分離は容易であった。

 県下における無菌性髄膜炎の流行は,近年季節性がみられなくなり,一定点あたりの患者数のピークにもずれが観察される。



香川県衛生研究所 山西 重機,三木 一男








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